「トリックオアトリート!」
「おや、これはいよこうののかくしみこ。どうしたのですか?」
「トリックオアトリートです!」
「とりっくおあとりーと?」
「はい!独眼竜さんに教えて頂きました、南蛮のお祭りだそうです!それと『伊予河野の隠し巫女』は止めて下さい、私にはちゃんと『鶴姫』って名前があるんです!」
「それはもうしわけない、みこどの」
「うー、まぁ巫女殿ならいっか。それよりもトリックオアトリートです!」
「ふふっ、とてもおもしろそうですね。『とりっくおあとりーと』といいあえばよいのですか?」
「いえ、そうではなく『トリックオアトリート』は『お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ』という意味らしいです。だから軍神さん!トリックオアトリートです!」
「いたずらされてはこまりますね。ではおかしをもってきましょう、しょうしょうおまちくださいね、みこどの」
「やったぁ!じゃあ私もお礼にこれを差し上げます。独眼竜さんから頂いたのですが、一緒に食べましょう」
「おや、いいのですか?」
「皆で食べた方が美味しいですから!」
「ふふ、ではいまおかしをもってきますから、いっしょにたべましょう」
「はい!」
「ああ、そうそう。みこどの」
「はい、何ですか?」
「とりっくおあとりーと」
「・・・・・・え?」
「おかしをくれなきゃいたずらしますよ?」
「・・・・・・え、えっと。あ!このお菓子!」
「だめですよ、ひとからいただいたものは」
「えー!えー、と、じゃあ、うー・・・」
「ふふっ」
「ふぇ?」
「じょうだんですよ。それにこんなかわいらしいかたとおちゃができるのです、それだけでじゅうぶんですよ」
「え、あ、ありがとうございます・・・」
「いいえ、こちらこそ。では、こんどこそおかしをもってきますね。」
「あ、はい!ありがとうございます!」
「どういたしまして」
「あの!軍神さん!」
「はい、なんでしょう」
「今日はとてもいい日ですね!」
「そうですね、とてもよいひです」
悪戯スイート
良い日に悪戯とお菓子を頂きます。
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ほのぼの過ぎた。
きっとかすがが木の上か屋根裏で、ハンカチ噛み締めてると思う。
そして謙信様の鶴姫の呼び方が分からない。