あ、クルル。ちょうど良かった、今暇?ごめんごめん、言い方が悪かった。クルルさん、俺とデートしませんか?ふふ、酷いなぁ。じゃあカレーつけるって言ったら?・・・現金だねぇ。ま、いっか。じゃ、ちょっと付き合ってくれる?クルルに言われたくはないなぁ。変な所じゃないよ、普通のスーパー。カレーの材料でも買って帰ろうかな。クルルが作ってくれるなら、俺はすごく嬉しいんだけどね。・・・・・・そう言うと思ってたよ。まあ、俺はクルルと食べられるなら幸せだよ。ははっ、クルル顔が酷いよ?あー、ごめんごめん。クルルの好きなの買っていいからさ。・・・それは勘弁かな・・・。あ、お酒買ってく?クルルって意外と細かいんだね。ならお酒はクルル担当って事でよろしく。ん?はは、出来るならしてみなよ、俺は強いよ?返り討ちにしてあげるよ。あははっ。・・・さてと。カレーとお酒とおつまみと、あとは何かな?ボルシチ?却下。舌打ちしたって駄目だよ、カレーとボルシチって何で似た物食べなきゃいけないのさ。肉まん?何でまた。・・・ふーん、まあいっか。あ、あれ買う?スターフルーツ。バッサリだねぇ。あ。カレー食べたらちゃんとデートしようぜ。うーん、何がいいかな。夜空でも眺める?ほんとだ、俺らってラブラブじゃん。あははっ、そういうのは俺の台詞だよ。・・・それもそうだね、じゃ、もう一回!えー、クルルのケチぃ!あれ、気に食わなかった?結構クルルのタイプになったと思うんだけど。本当だ。けどね、クルル。俺と居るときに他の男の名前を出すなんて、覚悟はいいかい?・・・ふーん、そう?クルルがそんな態度なら、俺は容赦しないよ?泣いて懇願しても許さないからね。ふふ、そんな怯えた顔しても駄目だよ、今夜は覚悟してね?その身体に刻み付けてあげるから。・・・・・・ちょっ、そこで笑わないでよ!・・・それを言うなら、クルルだってノリノリだったじゃん。あんなに怯えた顔して声も震わせてさ、俺だけの所為じゃないよ?全く。だからクルルは好きだよ。ん、ありがと。さてと、じゃあカレーとその他諸々の買い物行きますか。んー、いいじゃん、たまにはこんなにゆっくりとした時間も。まあねー、こんな事言えるのクルルだけだから、さ。ヒドッ!






「あ・・・」

学校からの帰り道。夕飯の材料を買おうとスーパーに向かっている途中、見知った背中を見つけた。
何をしているのだろうと、その背中に近付いていくと、電話でもしているのかクスクス笑っているのが聞こえる。
邪魔しても悪いかなと思って踵を返そうとした時、その両手が空いている事に気付いた。

「睦実先輩?何をしてるんですか?」

恐る恐るその背中に話し掛けると、睦実先輩が少し驚いたように振り返った。

「・・・あー、びっくりした。やあ、夏美ちゃん」

「・・・・・・こんにちは」

目を丸くしていた先輩は、私の顔を見ると胸に手をあてて息を吐いていた。そして普通に挨拶をしてくるものだから、私は何だか肩透かしを食らった気分になる。

「あの、先輩は何をしてたんですか?」

やはりというかなんというか、先輩の手は両方とも空いていた。耳も同じだ。
聞いてもいいのだろうかと一瞬躊躇したが、気になったのでもう一度聞いてみた。
先輩は私のその質問を聞くと、すごく楽しそうな嬉しそうな、でもちょっと意地の悪い笑顔を浮かべた。

「デート中」

勿論先輩は今一人で、携帯電話も持っていなくて。
私は先輩のその言葉が分からなくて、え?と固まってしまった。

「夏美ちゃんは?もう帰り?」

そんな私に気付いていないのか、先輩はマイペースに聞いてくる。
私はさっきの事で回らなくなった頭で、何とか夕飯の材料を買うためにスーパーに行く事を伝えると、先輩は「ナイスタイミング!」と指を鳴らした。

「俺も行く所だったんだ。夏美ちゃん、一緒に行かない?」

そう言われて、私の頭からさっきの事は全て消え去った。
睦実先輩と一緒に買い物。睦実先輩と一緒に買い物。
はいっ!と思わず勢いよく返事をしようとした時、先輩の携帯が鳴った。
ワンコールだけ鳴って切れたそれに、先輩は肩を竦める。

「ごめん、夏美ちゃん。一緒に行けなくなっちゃった」

「あ、いえ、そんなのいいですよ!」

引っ張り出した携帯を片手に持ちながら申し訳なさそうに謝る先輩に、私はあわあわと手と首を振る。
「ごめんね」ともう一度だけ謝った先輩は、「じゃあまた明日」と手を振って行ってしまった。
その背中を見ながら、私は先輩が手にはあったが一度も携帯を見なかった事に首を傾げた。






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「もしもし?嫉妬してくれたのかい?」



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