あー?睦実か。・・・暇だったが、たった今から暇じゃなくなった。嫌だぜぇ。お前とデートしてもつまらなそうだからなぁ。カレー付き?・・・チッ、しゃーねーなぁ。今日だけだぞ。付き合ってもいいが、変な所に連れてく気じゃねぇだろうな。お前変わってるからな。スーパー?それゃまた珍しいな。はー、作ってくれる奴がいないと寂しいねぇ。はあ?有り得ねぇ。じゃあな、一人で寂しくカレー食ってろ、俺は帰るわ。・・・・・・お前本当に気持ち悪いな、マジで帰るぞ。・・・じゃあ店の中で一番高い物を10個買ってやるぜぇ。で、持つのは当たり前だけどお前な。クックッ、根性のねぇ奴だ。あ?酒ってお前まだ未成年だろ。うるせぇなぁ、大体お前今制服だろ、買えるわけねぇだろ。あー?面倒臭ぇなぁ。馬鹿強い酒持ってってやるよ、そんで酔い潰れるか醜態をさらせてやる。・・・可愛くねぇガキだな。・・・他に食いたいの・・・ボルシチ。チッ。カレーとボルシチ揃ってたら最強じゃねぇか。・・・あー、じゃあ肉まん。いいだろ、食いたかったんだよ。・・・あれ?あれって何だよ。ああ、いらね。今度はなんだよ。・・・あー、はいはい。しかしデートっつっても何すんだよ。夜空ぁ?何時も見てんじゃねぇか。何だ、知らなかったのか?例え世界中を敵に回しても、俺はお前が好きだぜ?あー?だからいいんだろ。こんなサービス滅多にしねぇぜ?却下。・・・何だその苛つくキャラ。タイプって好みのかぁ?冗談、隊長にしか見えなかったぜぇ。・・・ぜってぇわざとだろ。あ?覚悟だぁ?そんなのする訳ねぇだろ。・・・・・・睦実?・・・・・・あ、・・・わり・・・。・・・・・・ごめっ、・・・俺が悪かった・・・から、・・・だか、ら、・・・許しぶふっ!クーックックックー!無理っ!身体に刻み付けてあげるって!ククッ!・・・はー、腹痛ぇ。合わせてやったんだろー?共犯になってやるよ。ククッ。あー、俺も好きだぜぇ。行くまでがなげぇなぁ。ククッ、芸能人様は忙しいからなぁ。あーっと・・・・・・キモッ。






「・・・・・・・・・」

日向家のリビング。冬樹殿達は学校へ行き、家事も一通りやってしまい、暇だからクルルと遊ぼうとやって来たら、クルルは持ち運び用のパソコンの前で直に床に座りながら誰かと話していた。まあ、誰かって睦実殿なんだけど。
でもディスプレイは暗転していて何も映っていないし、手には工具が握られているからどうやって睦実殿と話しているのか分からなかった。
ちなみに何で工具を握っているかというと、パソコンの修理と改善らしい。だからパソコンを介しての通話は無理なはずである。イヤフォンもケーブルが出まくってる状態だから難しいのではないだろうか。

「クルル?何をしてるんでありますか?」

恐る恐るその背中に話し掛けると、クルルは悪戯めいた顔で振り返った。

「あー?何だ隊長、気になんのか?」

「・・・・・・そりゃあ、まあ」

クルルは、我輩の顔を見ると、ふうんと笑みを濃くした。そして普通に「仕事は終わったのか?」なんて聞いてくるものから、我輩は鳩が豆鉄砲を食らった気分になった。

「うん、まあ。・・・で、クルルは何をしてたの?」

やはりというかなんというか、クルルの周りには機械はパソコンぐらいしかなかった。イヤフォンも全てパソコンにくっついている。携帯電話みたいな機械は、少し離れたリビングの机の上に置いてあった。
聞いてもいいのだろうかと一瞬躊躇したが、気になったのでもう一度聞いてみた。
クルルは我輩のその質問を聞くと、すごく面倒臭そうな怠そうな、でもちょっと嬉しそうな笑顔を浮かべた。

「デート中」

勿論クルルは今一人で、機械も持っていなくて。
我輩はクルルのその言葉が分からなくて、え?と固まってしまった。

「ククッ、馬鹿面だなぁ」

そんな我輩に気付いて、クルルは何時もの嫌味たらしい笑顔で笑った。
我輩は訳の分からない事で回らなくなった頭で、ひどいクルルぅ!と涙声を出す。反射的にそういう事には反応出来る自分の頭にちょっと泣きたくなったのは内緒だ。
我輩のそんな様子を笑いながら見ていたクルルは、何故だかいきなり顔をしかめた。

「・・・・・・あ?」

「・・・どうしたんでありますか?」

クルルが先程までとは全く違う雰囲気に包まれる。
我輩が驚いている間に、リビングの机の上に置いてあった携帯電話のような機械を取ると、ボタンを押してすぐに床に置いた。
そのよく分からない行動に首を傾げている我輩を放って、クルルはにこりと笑った。

「たーいちょー。この辺にお勧めの酒屋ってどこっすかぁ?」

「え?えーっと、商店街の・・・」

いきなりの事で飛びそうになった記憶を何とか引っ張り出しクルルに伝えると、もうパソコンや工具がなくなって、イヤフォンも普段の姿に戻っていた。早いなぁ、とまるで魔法使いのような所業に感心する。
携帯電話だけ持ったクルルは、「サンキュー」と我輩に軽い礼を言った後「じゃあ行ってくるんで」と手を振って行ってしまった。
その背中を見ながら、我輩はクルルは酒に強かったっけ、と首を傾げた。






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「あー、もしもし?嫉妬してんじゃねぇよ」



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