診断メーカー



「クールル、好きだよーん」

いきなりラボにやって来たかと思えば、いきなりそんな事を言い出した。
全くもって隊長の思考回路は分からない。俺は「はあ」と何時も通りの空気の抜けた返事をした。
やはりと言うか、隊長は俺の返事が気に食わなかったらしい。すぐに文句を言ってきた。

「もー、何でクルルは何時もそんな気のない返事なのさー!もっとこう情熱的に返すとかさぁ、せめて『俺も』くらい言ってくれてもよくない?」

ねぇ、どう思いますかクルルさん?と鼻息荒く言ってくる隊長に面倒臭ぇと思いつつ、隊長が本気で俺を責めていない事に肩の力を抜く。
よく俺の言い方については文句は言われるが、なんだかんだで隊長自身俺に好かれていないとは思っていないだろう。
だからこそ、俺もあんな返し方が出来るのだが。
それでも毎回言われる事は面倒臭い。
だから、逆に俺が文句を言ってみる事にした。

「毎回そんなふざけた言い方されてもなぁ、信じられないっつーかマイナスになってくっつーか」

「ゲロォッ!?そんな事思ってたのー!?」

わざとらしく呆れた顔をすれば、隊長は声を張り上げた。その様子を眺めながら、まあ恋人にそんな事言われたらショックだよなぁ、と他人事のように思った。

「何かなぁ、ワンパターンっつーか『ああ、またですか』って感じになってきてなぁ。ぶっちゃけ飽きちゃった」

テヘッと笑ってみたところ、心底ショックだったのか、いろんな所を開いて隊長は固まっていた。
その表情が面白くてくつくつと笑ってしまう。
しばらく見ていたら、再起動した隊長は俯いてぶつぶつ何かを呟いていた。
何か空恐ろしいものがあるが、とりあえず様子見をしていたら、隊長がぽつりと呟いた。

「我輩さぁ、クルルの笑った顔が好きなんだよね」

お、新しい展開か?と内心期待しながら、俺は話を促した。

「でさ、クルルは素直じゃないし天邪鬼で意地悪だけど、本当は仲間想いで何かあったら飛んで助けに来てくれるし、絶対に見捨てないし、最後にはきちんと何とかしてくれるところとかも好きなんだ」

これはアレか?誉め殺しか?
確かに新しい展開と言えばそうだな、と思いつつ、俺は隊長の話を聞く。

「口から出るのは嫌味や罵詈ばっかりだけど、それは照れ隠しだって分かってるし、そんな照れてるクルルも可愛いと思う。本当は甘えたいのにプライドが邪魔して甘えられないで我輩をチラチラ見てるクルルは、苛めてやりたくなるほど本当に可愛いよ?」

ちょっと待て!お前気付いてたのかよ!いっつも呑気にガンプラだ何だに夢中でシカトしてたじゃねぇか。苛めか?あ、本人が苛めって言ってた。
てか気付かれてたってマジかよ!馬鹿恥ずかしいわ!と内心穏やかではなくなった俺は一人で頭の中がパニックになり、さっきまでの楽しもうとしていた気持ちがぶっ飛んだ。
しかし、隊長は待ってはくれない。

「今だってそう。我輩が言わなくても分かってるって知ってるからこそダメ出しして、何時もと違う『好き』が知りたいんでしょ?」

固まっている俺に対して、隊長はくつくつと笑っている。さっきとは正反対だ。
笑いながら椅子に座っている俺に、カツカツと軍靴の音を立てながら近付いてくる。
俺の目の前に立った隊長は、くすりと笑った。

「そんなに知りたいんなら、いっぱい教えてあげるよ?身体にも、心にも」

頬に隊長の手が触れる。その触り方に変な声が出た。
何て言うか、熱を引き出そうとするような触り方だった。
隊長の目線から逃れられない俺はこの展開についていけず、ただ隊長を見つめ返すしか出来ない。
隊長はずいと顔を近付けて、口端を上げた。

「ね、クルル。愛してるよ」

楽しそうに、だが愛おしさが篭った笑みだった。
瞬間、顔に熱が集まった。
しかも先程言われた事も一緒に思い出して余計に熱くなる。
ああ、もう逃げてぇと思ったが、今椅子に座っていて前には隊長がいるから逃げられない。
隊長からの視線に耐えかねて俺が目を逸らすと、隊長は俺の額と自分の額をくっ付けて笑った。

「照れてんの?かーわいっ…もっと見せて?」

普段言われない告白や隊長の熱の篭った視線に居たたまれなくて顔は火が出るくらい熱くて。もう内心涙目だ。
これからは隊長をからかうのを自重しようと思った。
隊長は嬉しそうに俺の眼鏡を外していた。






END



クルルは、おでことおでこをこつんとされて、「照れてんの?かーわいっ…もっと見せて?」と言われます。

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