「ねー、クルルぅ」

「あー、何すかー?」

「ちょっと我輩の名前言ってみてー」

「・・・・・・はあ?」

「だーかーらー、我輩の名前ー。Please call my name」

「英語とか似合んねぇなぁ」

「な!失礼な!」

「わざとらしく怒んなよ、面倒臭ぇ」

「本気でクルル酷い!」

「ってか何なんすか?用ないなら俺戻りてぇんだけど」

「用あるじゃん用言ったじゃん!名前!我輩の!」

「言う必要性が分かんないから却下」

「そんな殺生な!我輩にとっては必要不可欠なのに!」

「はーあ?」

「我輩良く考えたんだけど、我輩ばっかり『クルル』って名前で呼んでクルルはちっとも呼んでくれないじゃん!不公平でありますよぉ!」

「そりゃしょうがないだろ、アンタ一応上司なんだから」

「そうだけどぉ」

「軍にいる限りは気安く名前でなんか呼べないねぇ。ま、アンタが命令するなら大丈夫だけどな」

「それじゃあ意味ないのー!」

「じゃあ諦めな」

「うっ。でもでも!クルルは我輩の恋人でありますよ?呼んだって大丈夫じゃね?」

「場所を考えて言ってくれますか。此処は?」

「・・・・・・・・・基地」

「がっつり軍関係の場所だぜぇ?恋人なんて言ってられないよなぁ」

「うぅっ、でも、でもでも!言うのなんて一瞬だし、今は誰もいないし。ささっと言ってくれればモウマンタイ!」

「何でそんな必死なんだよ」

「だって呼んで欲しいんだもん!」

「・・・・・・なぁ、隊長」

「クルル?」

「俺はアンタの部下だし、気安く名前なんて呼べない立場だ。でも名前は呼べなくても、俺はそれなりに気持ちを込めて『隊長』って言ってたんだぜ。それでも名前の方がいいのかい?」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・わ・・・」

「わ?」

「我輩が馬鹿だったでありますっ!ごめんクルル、名前なんてただの記号だよね問題は気持ちだよね!」

「そうだぜ、名前なんてただの記号だ」

「うん、クルルがそんなに気持ちを込めて言ってくれてたなんて、我輩幸せであります」

「俺もアンタが馬鹿で良かったぜぇ〜。じゃあ俺戻るから」

「分かったであります。クルル大好きぃ!」

「あー、はいはい。じゃあな、隊長」

「うん、じゃあまたー」






称呼フェイバー



言える訳ないじゃない。



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