達海はベッドに腰掛け、後ろに腕を付き右足を上げた。
持田はその足を支えるように掴み、足首を中心に手を這わす。その顔はまるで愛おしい物を見るように笑っていた。
そんな持田を、達海は無表情に見下ろしている。
触られている嫌悪感も痛みもなく、その表情は本当に無色だった。
何も話さずにただ摩っていた持田は、いきなり右足首を掴んでいた手で強く握った。
達海の表情が辛そうに歪む。しかし持田は達海を気にした風もなく、力を弱めた。
また撫でるように手を這わす。
足首を丁寧に摩り、その足を高く持ち上げた。達海の身体が後ろに反る。
「可哀相にね」
呟かれた言葉は、達海に向けられた物ではなかった。
「まだ走りたかっただろうに」
そう言って、持田は目を細めながら達海の足首に口付けた。
達海はそれをやはり無表情に見下ろしていた。
調戯ベーゼ
憧れと憐れみと嘲りを、貴方に。