「っはよ!尋」 「わっ!?」
学校までの道のりを、ボーッとしながら歩いてたら、のしっと肩に誰かの体重がかかった。 まぁ誰かと言ってもこんなことするのは、秀か須田くらいで…まぁ女の子なら由紀とか綾崎さんとかいるけど身長的にこの場合は違うだろう。 ぱっと横を見れば、今日も爽やかな笑顔で、僕の顔を覗き込んでくる秀がいて、ドキッとした。
「秀か…びっくりしたよ」 「尋の反応は相変わらず可愛いなぁ」 「可愛いとか言わないでよ、僕は男なんだから」 「そんな童顔で髪長かったら、パッと見女の子だよなあ…」 「ちょっと、話聞いてる?」
そんなやり取りをしながら、学校に着いて、靴を脱いでロッカーの中に入れていると、隣から喜びに満ちた声が聞こえてきた。
「ちょ。なんか、手紙入ってるんだけど!」 「!」
ドキリとした。 秀は何気にモテる(と思う)から。 でもしばらくたっても何も言わない秀を不思議に思い、顔を覗き込めば、涙目で叫んできた。
「……秀?」 「っぐす、だから、須田は俺の下だってばああああ!!」
また須田当ての手紙だったようで、嘆きながらもちゃんと須田のロッカーに入れ直している秀を見て、内心ホッとした。
「もうやだ、須田のロッカーの上、いやだ。」 「まぁまぁ、ドンマイ秀」 「…やっぱり俺には尋だけだああああああああ」
そう言って秀は僕に抱き着いてきた。 いつものことだから、表では平静を装っているが、本当は毎回心臓ばくばくで、抑えるのが大変だった。
「おいそこのイチャイチャしてる二人!」 「井浦なにしてんの」 「あ、石川と須田じゃん!おはよー!」 「二人ともおはよ」
そこに幼なじみのトオルとクラスでも仲の良い須田という僕の助け船がやってきた。
「はよ、尋。また朝から秀に絡まれてんのか?」 「絡んでんじゃないもん!これは友情を確かめあってだね…」 「はいはい、ここ邪魔だから教室行くよ。それと尋が困ってるから離してあげなさい」 「ちぇー、仕方ないなあ」
須田の助けのおかげで、やっと秀が離れてくれた。 毎日こんなだから、僕の心臓はドキドキしっぱなしだった。
(秀は少しは僕の気持ちも) (わかってほしいです。) (まぁ…無理な話だけど。) 111024
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