青春 | ナノ




片桐に入って3年目。
僕は初めて、恋に気付いた。



井浦秀。
幼稚園のころからずっと一緒で、小中高とずっとクラスも同じで、理解し合える親友だった。
でも何故か、高校に入ってから、一緒にいるのが辛いときがあって、自分でもなんなのかわからないまま、2年過ごしてきた。

3年の2学期に入って、進路を決める時期、指定校組の僕らはもう大学が決まっていた。
そんなとき、女子たちがやっていた「恋してる度チェック」を無理矢理やらされ、仕方なく受けてみた。

「じゃ、尋くんいくよ?Q1.相手の顔を見ると、ドキドキする?」
「うん」
「Q2.笑顔を見ると、ぎゅうっと胸が締め付けられる」
「…うん」
「Q3.他の人と話してると、モヤモヤする」
「っ…うん」
「Q4.相手が嬉しいと自分も嬉しい」
「うん、嬉しい」

このあともいくつか質問された結果、全て答えは「はい」になった。

「尋君、それ絶対恋してるってー!!」

彼女のこの言葉で、自分の秀への想いを自覚してしまった。




(自覚して初めて、)
(今まで秀としてきたことが、)
(恥ずかしくて出来なくなった。)
111024

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