最近は、詩織に話しかけないように努力した。
でもそれは苦痛で、毎日帰ってからずっと泣く、そんな日々を繰り返していた。
ある日ふと、窓の外を見た。
向かい側の校舎。屋上には見慣れた姿。
「…詩織?」
嫌な予感がした。
僕は教室を飛び出して屋上へ向かった。
走ってる間、宮村君や仙石君とすれ違った。
だけど僕はただ走ることに集中した。
屋上の扉を勢いよく開けると、詩織は柵の向こう側にいた。
急いで駆け寄り、彼女をこちら側に引き寄せた。
キ ミ ガ キ エ ル ?
(そんな世界じゃ)
(僕は生きていけない)
110303
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