なんで、詩織は…僕から離れたのか。
それを考え出せば、一日中そのことで頭がいっぱいになってしまう。
それくらい僕は、彼女が好きなのに…何故…。
そして、彼女はきっと依存し続けることを終わりにしようと思ったのでは、という結論に至った。ただの憶測に過ぎないが、何となく近いのだろう、そう感じた。
僕は、詩織へ目一杯の愛情を示しているつもりだった。いつも話してるときも、行為中でも、ずっと彼女を愛していた。なのに、その気持ちは伝わらず、いや、正確には彼女が自信が拒んでいるのだろう。
結局関係だけ深くなり、気持ちが追い付かなくて、今みたいになった。
そういう表現が正しいだろう。
とても、泣きたくなった。
昔の考えが足りない自分に、腹がたった。そして今の自分の考えが相当病んでいると思った。
詩織、好きだよ
詩織、
詩織…、
「詩織…」
「ん?柳どうした?住原が何かあったのか?」
「住原さん?何かあったの?」
一緒に喫茶店に入っていた石川くんと宮村くんが、僕が詩織の名前を呟いたのが気になったらしく、首をかしげて聞いてきた。
「あ、なんでもないですよ、ただの独り言です。」
「そっか。ならいいんだけどさ。」
「しかし明音と住原さんってホントラブラブだよねー」
「ホントホント。羨ましいよまったく。」
彼らは、僕たちのことを知らないから仕方ないけど、宮村くんの言葉が、今の僕にとってとても残酷な一言だった。
詩織、僕は君が好きなんだ。
だから僕は、身体だけの関係だって…
そ れ で も い い
(詩織と一緒にいれるなら、)
(なんだって…―)
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