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*翔本編第5話の翔がヒロインに怒鳴った後、理が慰めにこないで、誤解したままだったら…を想像して書きたくなったネタです。翔が可哀想なので注意








「あぁ、正直言って迷惑だ。」


翔さんに…迷惑なんて言われて…私、結構傷付いてる…
確かに、ビンタはやり過ぎたと思ったけど、でも…別に私が廻くんを誘惑したわけじゃないし…むしろこっちは迫られて、ちょっと怖かったのに…
どうして迷惑なんて言われなきゃいけないのよ…
怖かったの…に…守ってくれたのかと思って…ちょっと期待した私がバカだったんだね…
翔さんは…私のことなんか、迷惑な天ぷら対象でしかないんだ。



「おい…」
「!…かけ、る…さん…」

一瞬にして、体が強ばる。緊張が身体中を駆け巡っている。

「そんなとこにいたら、風邪引くぞ。」
翔さんはそう言って、私にコートを差し出した。

「いらないです、大丈夫なので」
「何が大丈夫なんだ。いいから着ろ。これは命令だ。」
「…………って……んです…」
「ん?」
「そんな…そんな偽物の優しさなんていらないって言ってるんです!」
「あっ、おい!」
私は無理矢理渡されたコートを翔さんに投げ付けて、部屋まで走って逃げた。




それから私は、翔さんを避けるようになった。
廻くんにはあの後「あんなことしてごめんっ…僕、どうかしてたんだ」って謝られて、廻くんとは仲直りした。

でも…翔さんは、謝ってもくれないし、相変わらず偉そうで…優しくされても、私の心には嫌な翔さんばっかりが残っていた。


そして、明後日には天ぷら執行というときに、翔さんに呼び出された。

「翔さん…なんですか?私、そろそろ寝たいんですけど…」
「…あの時は、悪かった。」
不意に、翔さんに謝られた。でも、私には遅すぎた。

「…あの時?…なんのことですか?」
上部だけの笑顔で、私はそう言った。

「!…いや…廻が、お前に迫ったとき…俺、お前に酷いこと、言った。あの時からずっと、そのことばかり考えてたんだ。」
「…あぁ…あの時の…別に、大丈夫ですよ。気にしてませんから。」
私は表情を変えないで、彼にそう伝えた。
「気にしてない?ならどうして俺を避けてるんだ。」
「別に、避けてなんかないですよ。…もう戻って良いですか?」

「っ…俺は…お前が、名前のことが、好きなんだ。」

その一言に、衝撃を受けた。でも冷えきった私の心には、響かなかった。

「…天ぷら対象に、情を持っちゃいけないんじゃないんですか?」
「それでも、俺はっ…」
「私は、翔さんの事が、嫌いです。」
「!」
「あの時から、私の心は冷めたままなんです。」

少し自嘲気味に、言い放って、私は翔さんに背を向けた。

「明後日、ちゃんと私を天ぷらにしてくださいね。姪がちゃんと生まれてきてくれれば、それで心残りはないんですから。」


それだけ告げて、私は自分の部屋に帰った。




2日後、無事に姪は生まれ、プレゼントも渡せた。
そして私は、天ぷらになった。





冷めた心と貴方
(私の肉体と魂を切り離すとき)
(翔さんは、泣いていた。)








悪魔と恋する10日間/神威翔
初、悪魔。
最近悪魔大好きです。
でも初めて書いたのが悲恋とか…
他のキャラも書いてみたいです


110626


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