メイン | ナノ

北大路皐月



夢が思ってた以上に怖かったのか、起きた私は汗だくだった。
「は、はぁっ…皐月さんっ…?」
隣にあるはずの彼の温もりを探して、模索する。
だが、見当たらなかった。

「あれ…皐月さん、いない…?」
まだ覚束ない足取りでベッドを出て、部屋の外を探すが、どこにも彼の姿が見つからない。
あの夢を見た後だからなのか、大きな不安が襲ってきた。

「皐月さん…どこにいるんですか…?」

すると、玄関の扉が開く音がする。
「!…皐月さんっ」
私は一目散に皐月さんのもとへ駆け寄り、今帰ってきたばかりの彼に思いっきり抱き着く。

「おっと…名前さん?どうしたんですか?」
「っ…ぅ、ふうぅ…」
安心したせいか、涙が溢れてきた。
「!…泣いてるんですか?何か、あったのですか?」
「ごめ、なさ…なんでも、ないんです…」
「何でもなくないでしょう。」
皐月さんは私の頬に手を当て、俯いていた私の顔を持ち上げた。

「何かあったのなら、私に話してください。私は、貴方のパートナーなのですから。辛いこと、悲しいことは二人で半分こしましょう?」
「皐月さん……実は、ちょっと、怖い夢を見てしまって…」
「怖い夢?」
「はい…皐月さんに、置いていかれちゃう夢を…」
「私に置いていかれる夢、ですか…」

皐月さんは何かを考えるようにしたあと、私のおでこにちゅっ、とキスをした。

「皐月さん?」
「安心して、俺が名前を置いていくなんてありえないから。」
「あ…」
たまに出る、男の皐月さんになったと思ったら、いきなり唇を塞がれた。
「ん…」
「…名前、俺はお前を離すつもりは毛頭ない。何があっても、な。」
「皐月さん…」

また、唇を塞がれる。
さっきの優しいのとは違い、深くて激しい、貪るようなキス。

「んっ、ふぅ…んんっ、」
「っ…はぁ…、」
ようやく唇が離れ、名残惜しそうに、銀の糸がつたう。

「名前…大好きだよ、愛してる。」
「…私も、皐月さんのこと、誰よりも大好きです。」
「これからも、ずっと一緒だ。」
「はい…」








110708


[*前] | [次#]

しおりを挟む






「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -