影山未来
「未来くん?いないの?」
部屋を見渡す。人影がなくて少し不安になる。
とりあえずベッドから出て、家中を探す。
でも彼の姿が無くて、もっと不安になる。
「未来くん…どこにいるの…?」
探しても探しても見つからない未来くんに、小さく投げ掛けてみるも、返事はなく。
あんな夢を見た後で、私の不安はどんどん募って、目には涙が溜まっていた。
「み、未来くん…、どこにいるの…?」
そう呟いた瞬間、後ろのクローゼットのドアがバンッと音をたてて開いた。
びっくりして振り替えると、申し訳無さそうにした未来くんがいて、こっちに歩み寄ってきた。
「ごめん、名前ちゃん。」
そして、私を力強く、でも優しく抱き締めてくれた。
「みらい、くん…?」
「名前ちゃんを驚かそうと思って隠れてたんだけど…不安にさせちゃったね。ごめん。」
私はふるふると首を横に振って、彼の胸に顔を埋めた。
「あのね、さっき、怖い夢を見たの。未来くんが、私を置いていっちゃう夢…」
「…そっか…、起きて僕がいなくて怖かったよね。ごめんね。」
「いいの…今、ぎゅってしてくれてるから…。」
「うん、大丈夫だよ、名前ちゃんのこと、絶対離さないから。」
そう言って、未来くんは私のおでこにそっとキスをした。
「僕が名前ちゃんを置いていくなんて、そんなこと、絶対無いから、安心してね?」
「…うんっ、私も、未来くんと、ずっと一緒にいるからねっ」
「へへ、嬉しいな。」
110708
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