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廣瀬遼一



「遼一さん…」
(どこいったんだろう…?)
部屋の中を見渡してみると、デスクの前で何かを書いている遼一さんの姿があった。

「お、名前…起こしちゃったか?」
「いえ、目が覚めちゃって…ところで、何してるんですか?」
「急にネタが浮かんできてな。それをメモしてたんだ。」
遼一さんはペンを起き、こちらに歩み寄ってくる。
そしてベッドに座り私の頭を撫でた。
「ん…」
私は、あんな夢を見たせいか、遼一さんに甘えたくなって、遼一さんの肩に頭を預けた。

「名前…?」
「……。」
「どうした?嫌な夢でも見たのか?」
「!…うん…。」

すると遼一さんは私をきゅっと抱き締めてくれた。
その温もりが嬉しくて、つい目頭が熱くなる。

「そうか…どんな夢見た?」
「…遼一さんに…置いていかれる夢…」
「……ふっ…」
「なっ…なんで笑うんですか…」
「いや…バカだなあと思って。」

遼一さんの手が私の頬に触れる。

「この俺がそう簡単にお前の手を離すとでも思ってるのか?」
「…でも…」
「安心しろ、名前。最後まで手離す気なんてねえからさ。」
「遼一さん…その言葉、信じても良いんですよね?」
「当たり前だろ。何お前、疑ってんの?」

遼一さんはとびっきり優しい顔で私にデコピンしてきた。

「いったぁ!何するんですか!」
「お前が俺を疑うから。」
「…疑ってませんよ。私は何があっても遼一さんを信じてます。」
「…それでいい。俺も、お前を信じてるよ。」

私が微笑んでそう言うと、遼一さんは満足そうな顔をして、チュッと触れるだけのキスをした。










110624


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テーマ「人外ファンタジー」
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