好きな人がいた。
高校のとき私は美術部で、美術室からは調度、体育館が見えた。
そこで、毎日一際大きな声を出していたのが、彼、日向順平だった。
同じクラスだったし、何故かいつも隣の席だったからそれなりに仲が良かったと思う。
でも、友達以上にはなれなかった。
だから私はいつも美術室から、彼を見ていた。
彼は試合があった次の日の授業は、必ずと言って良いほど、寝ている。
「なあ、名前。ここ、聞いてたか?俺寝ちゃってさ…」
「寝てたねぇ、ぐっすりと。私は一生懸命授業を受けてたのにさ」
「…仕方ないだろ。昨日試合だったんだから…」
「…仕方ないなあ。じゃあイチゴミルクで手を打とう。」
「のった!」
本当は頼ってくれるのが嬉しかった。
でも私はいつも素直になれない。
そして、イチゴミルクを頼むときはいつも、昼休みに日向くんからお誘いがある。
「名前、一緒にメシ食おうぜ?」
「はいはい」
「なんだよ、嫌なら良いけど…」
「嫌じゃないよ!だってイチゴミルクが待ってるからね!」
お弁当を片手に一緒に教室を出て、自販機のイチゴミルクを日向くんに買ってもらう。
そのまま屋上に行って、ご飯を食べる。
こんな日常が当たり前だった。
周りからはたまに冷やかされていたけれど、それすらも心地よかった。
でも、結局告白なんて出来ずに、卒業式を迎えてしまった。
「名前、」
「あ…日向くん。」
「あのさ、名前…」
「あ、日向、苗字!調度良いや、今写真撮ってまわってんだ。撮ってやるよ。」
「あ、あぁ…」
何かを言いかけた日向くんに、もう一度問おうと思ったけど、結局タイミングが掴めないで、解散となってしまった。
それからすぐ、彼は地元の大学、私は地元を離れて都心の大学へと進んだ。
私は大学の近くで一人暮らしを始め、地元から離れて暮らしていた。
もちろんメアドは知っていたし、連絡は取れたけど、タイミングを失い、連絡できないでいる。向こうから連絡も来ないから、日向くんとは会えずじまいで、卒業してからもう2年も経っていた。
未だにあの時撮った写真を持ち歩いたまま、彼への思いを引きずったまま、毎日を過ごしている。
写真で切り取られた世界
(なんか…思い出したら会いたくなっちゃったな…。日向くんに連絡、してみようかな…)
「…!…ちょっと名前!」
「えっ?」
写真を見ながら、昔のことを思い出しながらボーッとしていたのか、友人の声に気付かなかったらしい。
怪訝そうな顔をしてる友人に、改めて用を聞くと、正門の前で私を探している人がいるという。
不思議に思い、教室の窓から正門を見てみると、黒髪スポ刈りで眼鏡をかけた男性が立っていた。
もしかしたら違うかもしれない、
そんなことわかってても期待をしてしまった私は、友人の呼び止める声なんて聞かずに、正門まで走った。
彼かもしれないという期待に、胸を膨らませながら…
黒子のバスケ/日向順平
僕の知らない世界で様に提出。
勢いに任せて書いた感が否めないですが…
はい、見事に黒子にハマりました。
一応連載始まったときから本誌で見てたんですけど、途中でジャンプ読まなくなって、それから離れてましたが、アニメを機に、漫画一気読みしました。
クラッチシューター、日向順平。
大好きです。
素敵企画に参加させていただきありがとうございました!
120713
[*前] | [次#]
しおりを挟む
←