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「苗字さん、」
「あ…」

彼女は我に帰ったのか、自分の言ったことを思い出し、さらに顔を真っ赤にした。

「あの、ごめんなさい。今の、忘れてください!」
「忘れられないよ」
「え?」
「…ねぇ、苗字さん。今の、俺、自惚れちゃってもいいの?」
「あ、あの…」

宮村は彼女に近付き、じっと見つめた。

「俺は、苗字さんの、一見冷たそうなんだけど、優しいところとか、本が大好きなところとか、意外と照れ屋なところとか、君の全部に惹かれたんだ。…苗字さんは?今の気持ち、聞かせて?」

そう言って微笑む宮村を見て、彼女は意を決したのか、話し始めた。

「私は、宮村くんの天然なところとか、意外と強引なところとか、最初は少しうざったかったです。でも、いつからか、それがなんだか心地よくて、宮村くんといると、なんだか楽しいんです。…この気持ちが、なんなのか、最近ずっとそればっかり考えていました。」

そこまで言ったところで、彼女はすぅ、と深呼吸をし、宮村を見つめ返した。

「…でも、今答えが出ました。…これって、好き、っていうこと、なんだと思います。」

宮村は、今まで何も言わずに話を聞いていたが、好きと言われて、つい抱き締めていた。彼女は驚いていたが、やがて背中に手を回した。

「苗字さん、俺、うれしい」
「…わたしもです、宮村くん。こんな気持ちを持てて、宮村くんと一緒にいれるのが、嬉しいです。」
「…苗字さん、大好きだよ。」
「…私もっ…」




わたしも大好きです。
(そう言って微笑む彼女は)
(今までで一番輝いていた。)




111228


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テーマ「人外ファンタジー」
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