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Trick or treat(お菓子くれなきゃ悪戯しちゃうぞ!)〜柚木の妻の場合。〜



「梓馬さん、Trick or treat!」
「はい、これ。お菓子ね。」
「…そんなにすんなり渡されるとつまんないじゃないですか!」
「…だって、ハロウィンといえばそういう行事なんだろ?」
「でも…」
「それとも…俺に悪戯でもされたいのか?」

マイダーリンこと柚木梓馬さんがニヤリと意地悪く笑って席を立ったから、何かされる、そう思って後ずさりをすれば、今度は胡散臭いいつもの笑顔で近付いてきた。

「なんで後ずさりなんてするのかな?別に俺は"悪戯をする"とは言ってないよ?」
「いや…なんとなく…」
「…さっきは冗談で言ったつもりだったんだけど…気が変わった」
「…へ?」
「そんなに悪戯をご所望なら、お望み通り悪戯してやるよ」
「いや、遠慮しますっ」
「お前に拒否権なんてないからね?」

そう言って彼は私の髪を透いた。なんだかよくされていることなのに、その行為にドキッとしてしまった。
そのまま、ゆっくりと顔が近づき、気付けば私の唇は彼に奪われていた。

「、梓馬さ、」
「少し黙ってて」
「んんっ、」

どんどん深くなる口付けに、頭がついていかなくて、ぼんやりと彼とのキスに酔いしれていると、パッと離されてしまい、なんとも言えない物足りなさを感じてしまった。

「…ねぇ、悪戯、もっとしてほしい?」
「っ…」
「物足りないんだろう?」
「そんなことっ…」
「嘘付くのか?いけない子だなあ…もっと欲しいときは、なんて言うのか、忘れたのか?」

梓馬さんはいつもみたいに耳元で囁きながら、私を誘導する。
そんなことされたら、逆らえないの、わかってるくせに。

「…もっと、たくさんキスしてください、…梓馬さんっ」
「…いい子だ。」

こうして私は梓馬さんには逆らえないまま、彼に身を委ねた。



111031



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