Trick or treat(お菓子くれなきゃ悪戯するぞ)〜谷原マキオの場合〜
「おい」
「あれ、谷原じゃん。おはよ。どしたん?」
「と…」
「と?」
「と、Trick or treat…」
同じクラスのからかうと面白い谷原から突然いわれた一言に、今日がハロウィンだということに初めて気付かされた。
ガサゴソと鞄を漁り、飴ちゃんかなんか無いか調べてみれば、偶然にも飴ちゃん一袋が入ってて、自分のお菓子好きにちょっと引いた瞬間だったりもした。
「あ、そっか…ハロウィンか…。えっとねぇ…あ、飴ちゃん…あった……はいこれ!」
「お、おー。…ありがとな」
「いえいえ!てか谷原がそんなこと言うの珍しいね!」
「いや…これは…」
「…どうせ井上(私と谷原と同じクラスの男子)たちとトランプでもして負けて、罰ゲームとかでしょ?」
「えっ」
「あ、図星?うわ、私天才」
自分で罰ゲームなんて言っておいて、ちょっと寂しくなった。谷原に話しかけてもらえて、嬉しかったから。まぁでもたとえ罰ゲームでも話しかけてくれたのは事実だし、喜ばなきゃね!
そんなこと考えていると、谷原が突然真面目な顔で私を見つめてきた。
「…谷原?どしたの?」
「…確かに、罰ゲームだけど、でもそれは、半分だから。」
「え?」
「もう半分は、自分の意思。俺が、お前に話しかけたかったから、」
「…え?」
「……じゃ、俺戻るわ」
「…はぁ!?ちょ、待ってよ谷原!どういうこと!?」
「知るかっ!」
ねぇ、谷原。
それって、私、自惚れてもいいの?
111031
[*前] | [次#]
しおりを挟む
←