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体育祭



「小山ああああ走れえええええ!!」
「山本負けんなよおおおお!」


体育祭が始まった。
走ってる人を応援する声で会場が湧いていた。
私はといえば、昼休みを挟んで、一番始めにくる、応援団の発表にとても緊張して、応援どころではなかった。応援団なのにね!
(どうしよう…今更になってすごい緊張してきた…)
胸に手を当て、ドキドキを抑えようとしても、言うことを聞いてくれない。
俯いて胸に手を当てて落ち着こうとしていると、ポンと肩を叩かれた。
びっくりして顔をあげれば、愛しの谷原先生が。

「せ、先生!?な、何かご用ですかっ?」
「いや…なんか苗字が緊張してるように見えたから…」
「あ…気付いてましたか?」
「ああ、お前わかりやすいからな」
「わかりやすい、ですか…」
「まあ、あんまり緊張するなよ。」

そう言って先生は笑って頭を撫でてから行ってしまった。
あぁ、今日も笑顔が輝いていますね!

先生から声をかけられたのもあって、さっきまでの緊張は解けていた。



はい、楽しかった昼休みも終わりに近付き、入場口には、私たちだけじゃなく他の応援団の人たちもみんな集まり始めていた。
後少しで始まる、そう考えると、また緊張でガチガチになってしまった。

(みんなを纏めなきゃ…でも、緊張してて体が思うように動かないよ…!)

そう思っていると、グラウンドの端から谷原先生が、多分私に向かって手招きしてるのが見えた。(勘違いだったらどうしよう、)
先生のところへ走っていけば、彼は私の頭を優しく撫でてきた。

「ふえっ!?」
「いや、また緊張してたから、呼んだんだ。少しでも緊張が解れればと思って。」
「谷原先生…」

先生の優しさに、緊張がほどけていくのと一緒に、頬に熱が集まるのを感じていると、集合の合図の笛の音が聞こえてきた。

「じゃあ先生、私、頑張ってきます!」
「おう。俺がお前のこと、ちゃんと見ててやるから、精一杯頑張って、思いっきり楽しんでこい」
「はい!」

私は谷原先生の言葉を胸に、応援団の輪の中に戻ったのだった。





111205


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