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あの日から、宮村の彼女へのスキンシップが激しくなった。
といってもみんなの前では流石にやらないのだが、二人きりになると必ず抱き締めたり、一緒に帰るときも(宮村が一方的に着いていっているだけだが)手を繋いだりしていた。


「あのっ、宮村くん!」
「なに?」
「なんで、いつも抱き締めてくるんですかっ!?」
「それは、苗字さんが好きだからに決まってるでしょ」
「!…なぜそんなにサラリとそう言うことを言うんですか?本気じゃないんでしょう…?」
「本気だよ。」
「え?」
「俺は、苗字さんのこと、好きだよ」

宮村はまっすぐ彼女を見つめていた。
彼女は恥ずかしくなったのか、顔を真っ赤にして俯いた。

「あ、顔真っ赤。苗字さんかわいー」
「う、そんなことっ…」
「あるよ。すごく可愛い。」
「っ…信じませんっ」
「それでもいいよ。俺だけが、苗字さんの可愛さをわかってれば、それで。」

宮村はそんな彼女に追い討ちをかけるように(彼にそんな意図はないのだが)甘い言葉を囁き続けた。

「私は…っ、」
「…ごめん、困らせちゃったね。気にしなくていいよ。苗字さんの答えを聞きたかったわけじゃないし」
「…ごめんなさい宮村くん…、お返事出来なくて…」
「いいよ、」

彼女は少し上目遣いで宮村を見つめていると、宮村は切なそうに眉を下げた。
なんだかその顔をずっと見ていられず、パッと反らすと、宮村が口を開いた。

「でも…もし、俺のことが嫌なら、嫌いになってほしいかな。」
「!……宮村くんは、ズルいです。」
「…え?」




嫌いになんて、
(今更なれるわけ、ないじゃないですか)
(そう言った彼女は)
(苦しそうに顔を歪めた。)





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