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悲しそうに顔を歪めた梓馬さんを見れなくて、パッと俯く。

でも一度上がってしまった気持ちを抑えることなんてできなくて、吐き出してしまった。

「梓馬さん、最近、帰りが遅くて、今日ゆっくり買い物出来ると思ってたのにっ…私より、あの女の人を優先して…私、もうわけわかんないよっ…!」

自分で口に出したらもっと悲しくなってきて泣きじゃくっていると、梓馬さんにふわりと抱き締められた。

「やだ!離してください!」
「ごめん、名前…君を優先すべきだったよね、ホントにごめん」
「…梓馬さん…」
「実は、これを買いに行っていたんだ。」梓馬さんが羽織っていたジャケットのポケットから小さめの箱を出して私に渡してきた。

「…これは?」
「開けてみて?」

開けるよう促され、リボンをほどいて、箱を開ければ、キラキラと輝くネックレスが入っていた。

「これって…」
「最近、あまり早く帰れないから…お詫びと思って」
「じゃあ…今日あの人といたのは…」
「…恥ずかしいけど、君が喜ぶものの検討がつかなくて…そしたら、オススメがあるって言われたから、案内してもらったんだ。」

梓馬さんから事実を聞き、ホッとしたのと同時に、さっき取り乱してしまった自分が恥ずかしくなってきた。

「ご、ごめんなさい…私…」
「いいよ。名前の気持ちをわかってやれなかった俺が悪いんだから」
「でもっ…」
「いいから。…ほら、そんなことより、これつけてあげるから後ろ向いて?」
「え……あ、はいっ」

ドキドキしながら後ろを向くと、首筋にひやりとした金属の冷たさが触れた。

「…うん、似合ってるよ」
「梓馬さん…ありがとう、ございます」
「いや、お礼なんか良いんだよ。俺が好きでやったんだから。」

そう言ってふわりと微笑む梓馬さんは、最近あまり見ていなかった分もあるのか、とてもかっこよかった。

「名前…、俺は君のことが、君が思ってる以上に大好きなんだよ。」
「梓馬さん…」
「愛してるんだ。」
「…私も、愛しています。」




仲直りの口づけ
(ゆっくりと彼の唇が近づいてきて)
(優しいキスをされた)
(私はいつまでも、)
(彼のキスに酔いしれていた。)




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