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街から走ってやっと家に着いた。どんな経路で、どれくらいの時間で帰ってきたかなんて全然思い出せなかった。ただ、一刻も早くあそこから逃げたくて、無我夢中で走っていた。
当然だけど、玄関をあけても、中には誰もいない。しん、と静まりかえった部屋に、重たい足を引きずりながら入った。

しばらく、リビングの机に座ってボーッとしていた。頭の中ではさっきの光景が走馬灯のようになんどもなんども繰り返された。
気がつけば頬に涙が伝い、止めようと思っても、蛇口を捻ったみたいに、どんどん溢れてくる。

止まらない涙をタオルで拭っていると、リビングの扉からガチャリと音がし、梓馬さんが入ってきた。

「名前…」
「梓馬、さん…お、おかえりなさい、すみません、まだご飯作ってなくて…」
「名前」
「梓馬さんは、座っててください。急いで用意しますから」
「名前!」

梓馬さんに強く名前を呼ばれ、びくっと肩を揺らした。梓馬さんの顔が見れなくて、急いでキッチンに逃げ込めば、彼は追いかけてきて私を抱き締めた。
でも、私はどうしてもさっきのことが頭にちらついて、離れなくて、

「やっ!離してくださいっ!」


つい梓馬さんを拒んでしまった。




拒絶
(ハッとして梓馬さんを見れば)
(悲しそうな顔に歪んでいた)




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