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先生の応援



6月に入り、雨の日が増えてきたある休日、私は応援団の団長として、精一杯応援団を仕切っていた。

「ここはこういうふうに動かすと、滑らかで綺麗に見えるから!はい、じゃあ一緒にやって!…そうそう、みんな良い感じだね!じゃあ、今から昼休憩いれます!1時半にまたここで練習再開します」

練習が一段落し、みんながぞろぞろと昼休憩をしに体育館から出ていく。
私は、自分の荷物の所へ行き、残り少ないスポーツドリンクを一気に飲み干した。
(買いに行かなきゃ…、)
そんなことを考えてお昼の準備を始めようとしたとき、突然頬にヒヤッとした感覚が。
驚いて顔をあげれば、スポーツドリンクのペットボトルを持った谷原先生が立っていた。

「た、谷原先生!」
「お疲れ、苗字。これ、お裾分け」
「え?…あ、ありがとうございますっ!今ちょうど無くなっちゃったんで嬉しいです!」
「そっか。…苗字、昼飯は?」
「今から買いにいってきますよー」
「…俺、これからなんだけど、一緒に食べに行くか?」

先生の一言で私は固まってしまった。
一緒に食べる、それを理解するまでに少し時間がかかった。
私が下を向きながら固まっていると、先生は不思議に思ったのか、顔を覗き込んできた。

「どうした?」
「あ、…いえっ、なんでもないです!」
「で、昼飯、どうする?嫌なら良いんだけど…。」
「嫌なんて、とんでもない!是非!」
「じゃあ行くか。」
「はいっ!」


こうして私は、谷原先生とお昼ご飯を食べに行くことになった。

学校のすぐそばにあるラーメン屋に着いて、先生とメニューを見ながら何を頼むか決めるとき、なんだか恋人みたい、なんて思っちゃったのは秘密なんだからね!

「「いただきます」」

ふたりで手をあわせ、ラーメンに口をつける。
練習で疲れてたせいか、それとも谷原先生と一緒だからか、いつもより美味しく感じられた。

「おいしい…」
「、んまいな」
「あの、先生、ホントにお金出してもらっちゃって良いんですか…?」
「ん?当たり前だろ。生徒に払わせるわけにはいかねーよ」
「…ありがとうございますっ」
「それに、苗字には体育祭頑張ってほしいしな」

不意打ちで応援され、嬉しくて心が満たされたように温かくなった。

「…よーし、谷原先生が応援してくれるなら、もっと頑張っちゃおうかな!」
「お、その調子だぞ!苗字!」

そのあともふたりで笑いながら、休憩時間ギリギリまでラーメン屋さんに居座っていた。





111030


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