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「おはよー、苗字さん。」
「!…おはよう、ございます。」
「あ、ちゃんと返事してくれた。…嬉しい」

彼女が顔を真っ赤にした日、その日から宮村の彼女への態度が更に変わった。
毎日優しく声をかけて、そっけなくされてもいつもにこにこ笑っていた。
そんな宮村に感化されたのか、彼女の態度も以前より柔らかくなった。


「あの、宮村くん。」
「なに?」
「今日、私面談なので、少し委員会を任せてもいいですか?」
「うん、もちろん!」
「じゃあ、お願いします。」



放課後になり、彼女は図書室に行くために廊下を早足で進んでいた。

(ちょっと長引いちゃった…宮村くん、ごめんっ…)

図書室に着くなり、扉をガラッと勢いよく開けると、宮村は読んでいた本から顔をあげ、彼女に笑顔を向けた。

「苗字さん、お疲れ様。」
「宮村くん、ごめんなさいっ…遅くなってしまって…」
「大丈夫だよ、人もあんまり来なかったし。」
「でも…」

宮村を待たせたことを気に病んでいるのか、俯いたまま顔をあげない彼女を見て、宮村は迷った末に彼女を抱き締めた。

「!?み、宮村くん!?」
「あ、顔あげてくれた。…俺は、苗字さんの困った顔より、笑ってる顔の方が、好きだな。」
「なっ…」



なにするんですかっ!
(いきなり抱き締めるなんて、セクハラです!)
(そう言った彼女は)
(以前よりも顔を真っ赤に染め)
(ふいっとそっぽを向いた)






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テーマ「人外ファンタジー」
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