三輪子猫丸視点でお送りします。
語りは標準語。
相談
「子猫丸ー…」
「あれ、苗字さん。なんですか?」
「ちょっと相談があるんだけど…」
突然苗字さんに声をかけられ、振り替えれば、彼女は眉を下げて僕に相談があると言ってきた。
「どうしたんですか?」
「…あのね、廉造とのことなんだけどっ…」
顔を真っ赤にして苗字さんはそう言った。
教室内を見渡せば、志摩さんもみんなもいて、恐らく彼女は言いにくいだろう。
そう思った僕は彼女を連れ、教室の隣にある今は使われていない空き部屋へ入った。
「ここなら話せますやろ?」
「ありがと、子猫丸」
「…で、志摩さんと何かあったんですか?」
「…大したことはないんだけど…志摩がね、くさいセリフを真顔で言ってくるの。別にそれは良いんだけど、…慣れないって言うか、私はめちゃくちゃドキドキしてばっかで…なんでかなあ…」
深刻な相談かと思って、緊張しながら聞いていたら、ただのノロケで、思わず咳き込んでしまった。
大丈夫?と声をかけてくる名前さんに大丈夫だと返事をし、一度咳払いをしてから彼女に向き直る。
「それは、苗字さんが志摩さんのこと大好きやから、ですよ?」
「…え?」
「好きなんやったら、ドキドキしはるのは当たり前です。苗字さんが日に日に志摩さんのことを好きになっとる証や。」
「…そっか…そうなんだ…」
恥ずかしそうに、でもどこか嬉しそうに笑う苗字さんを見て、これからも相談に乗ってあげなきゃ、なんて思った。
111019
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