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「…好きです、付き合ってくださいっ!」

告白されたから、別に今彼女もいなかったし、付き合った。
実際、彼女のことは、"同じクラスの少し地味な女の子"、それくらいの認識だった。



恋すれば解決


時は経ち、俺と彼女が付き合って1ヶ月が経った。
俺らの関係は、続いているが、あまり進展がない。
せいぜい一緒にお昼を食べたり、手をつなぐくらい。
それでもまぁ、彼女はいつも幸せそうに笑ってたから、それでいいかなぁ、なんて思ってた。

そんなある日の放課後、彼女に呼び出され、屋上に行った。
少し重たい屋上の扉を開ければ、彼女はフェンスのそばで一人俯いていた。

「…苗字さん、どうしたの?」
「…悠太くん、」

顔をあげた彼女を見て、ドキッとした。
顔は悲しそうに歪んでいて、目はメイクで誤魔化されてはいるが、赤く腫れていた。
俺は彼女が喋り出すまで、ジッと彼女を見つめたままでいた。


「…悠太くんさ、私のこと好きじゃないでしょ?」

ドキリ、とした。
確かにそうだったから。
俺は別に彼女のことを好きなわけでは無かった。
一ヶ月前までは、ただのクラスメイトとしか思ってなくて、ただ告白されたから、付き合った。
ただそれだけだ。
ただそれだけのことなのに、
好きじゃないことを知られてしまったところで、別れて終わりなはずなのに、
なぜか俺の胸はチクチクと鋭く痛んだ。


「…ごめんね、無理して付き合わせちゃって。…好きでもないやつと付き合うのなんて、めんどくさかったでしょ?」
「そんなこと、」
「別れよっか、悠太くん」

そう言った彼女は、酷く悲しそうで、泣きそうで、俺は、それだけ行って去ろうとした彼女の手を、無意識に掴んでいた。


「なんで、」
「え…?…なんでって、だって悠太くん、私のこと好きじゃな」
「勝手に決めないでよ。俺、苗字さんのこと、好きだとは言ってないけど、好きじゃないとも言ってない。」
「でも、」

そこまで言って、自分の行動力にびっくりした。俺ってこんなことも出来るんだな、なんて考えていたら、彼女から訝しげな視線を向けられた。
それに気付き、俺は慌てて口を開いた。

「…俺、多分、苗字さんのことを好き、になりかけてる、と思う。」
「…え?」
「苗字さんは、少し地味だけど、でも人一倍努力してるし、気が利くし、少し恥ずかしがりだったり、それに」
「も、もういいですっ!は、恥ずかしい…」
「…とりあえず、俺はそんな苗字さんに惹かれてたんだ。」

一度深呼吸をして、苗字さんを見つめる。彼女は耳まで真っ赤にして俺を見つめ返してきた。

「…だから、別れるなんて、言わないでよ。」
「…悠太、くん…」
「…苗字さん、もう一度、俺と付き合ってくれますか?」

俺がそう言えば、彼女はぽろぽろと涙を溢しながら、微笑んでくれた。

「私なんか、でよければっ…お願いします…!」
「うん、…名前」
「!」

顔を真っ赤にして俯いていた彼女を、下の名前で読んでみれば、バッと顔をあげて、さらに顔を真っ赤にした。
そんな彼女が愛しく思えて、俺はつい手を伸ばして、ぎゅうと抱き締めていた。






君と僕。/浅羽悠太
悠太の夢が書きたくなってつい書いてしまった。
キャラが…なんか違うような…
浅羽兄弟では悠太派です。
ていうか悠太好きすぎて辛いです。
あきらくんもすき。


Title by HENCE様
111018


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