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いつも通り学校が終わり、今日は久しぶりに梓馬さんと買い物に行く約束をしていた。
まだかな、と未だ来ない彼の姿をキョロキョロと探していると、一通のメールが届いた。
確認すれば、梓馬さんからのメールで、その内容は私を落胆させるには、充分で、


"ごめん、今日少し急用が出来てしまって、買い物に行けなさそうだ。本当にごめんね"


目頭が熱くなるのを感じ、必死に堪えていると、遠くで私の名前が呼ばれた気がし、梓馬さんかも、と思いばっと顔をあげれば、香穂ちゃんがこちらにかけよって来ていた。

「名前ー!」
「…あ、香穂ちゃん…」
「ん?今日は、柚木先輩と買い物行くんじゃなかったっけ?」
「ん…なんか、急用で来れないって…」
「はっ!?ちょ、何それっ!?奥さんより大事な用なわけ!?」
「いや…梓馬さんにも色々あるんだよ、きっと」
「…じゃあ私といこっか!」

香穂ちゃんがそう言ってくれたので、二人で買い物に行くことにした。


「今日は何作るの?」
「グラタンでも作ろうかなって…」
「お、いいねぇ!」

スーパーに着いて、食材を集めながら、香穂ちゃんと他愛もない話をする。
途中、遊び心で変な食材を入れたくなり、手にとるのだが、香穂ちゃんに止められてしまう。

「これは入れちゃいけません!」
「えー…」
「えーじゃないの!」



色々あーだこーだ言いながらも、なんとか買い物を終え、スーパーを出て歩いていると、私たちの反対側から歩いてくる人を見つけた。いつも見ていて、大好きな彼が、

「梓馬さん…?」
「え?…本当だ。」

声をかけようと思って、ハッとした。
隣に綺麗な女の人がいて、腕を組んでいたから。

「ちょ、何あれ…」
「…香穂ちゃん、私…」
「あっ、名前!!」

私はその光景を見てられなくて、その場を逃げ出した。






ふと、名前の名前が聞こえ、聞こえた方を見れば、日野がこちらに歩み寄ってるのが見えた。

「日野?」


パァンッ

乾いた切れのいい音が響いた。
少したって頬にじんと痛んできた。日野が俺の頬を叩いたとわかったのは、もう少し時間がたってからだった。


「…日野?」
「柚木先輩、サイッテー!!」

日野はそれだけ言って翻して去っていった。




突然
(突然の出来事と)
(叩かれた頬の痛みで)
(隣にいた彼女の言葉なんて)
(聞こえなかった。)






111013


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