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ぶどう



一時間ほど電車を乗り継いで、ぶどう狩りに来た私たち。
周りには、夫婦や友達同士、家族など色々な人がいた。

「うわあ…ぶどうがいっぱい!!」
「うまそーやなぁ」



その後、農家のおじさんにやり方の説明などを聞いた後、私と廉造はぶどう狩りを始めた。

「ほい、名前ちゃん!」
「ん?」
「あーん」
「!…あーん…」

ぶどうを採っている途中、一粒とって差し出してきた廉造。その行為に少し恥ずかしくなりながらも、その一粒をぱくんと口に入れた。

「ん!おいしー…!」
「名前ちゃん名前ちゃん!俺にもやって?」
「えっ……仕方ないなぁ…はい、あーんして?」
「ん、あーん」

廉造にも同じことをしてあげると、彼はすごく嬉しそうに微笑んだ。

「おおきにな」
「んーん。なんか、へへへ、恋人みたいだね」
「みたいやなくて恋人なんやけどね!」
「あ、そっか」


そんな話をしながら、ぶどうを摘んでいく。綺麗な紫色がカゴの中にどんどんたまっていく。




「たくさん採ったねえ…」
「そろそろ帰ろか?」
「うん」

採ったぶどうをおじさんに袋に入れてもらい、帰ることにした。
手を繋いで、ぶどうが入ってる袋は廉造が何も言わずにさりげなく持ってくれて、なんだかとても幸せだった。





111010


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