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秋の夜長



「なんか最近、日が落ちるの早なったなぁ…」
「そうだな。」
「秋の夜長ってやつですね」
「もう今秋って感じじゃないけどね!絶対冬だけどね!!」
「そーですね…寒いですよね…」

みんなでぞろぞろ並んで帰ってるとき、ふと竜士くんがおじいちゃんみたいなことを言い出した。
でも確かについこないだまで日が長かったのが、最近日が落ちるのが早くなった。

「名前ちゃん寒いん?俺が温めたろか?身体で。」
「黙れ変態。」
「えげつない!」

廉造の変態発言は軽くあしらっておき、皆との会話に戻る。

「やっぱり温暖化の影響なんですかね。ここ最近毎日寒くて辛いです。」
「そうですね。まぁ温暖化の影響がほとんどでしょう。」
「なんかさ、学校行くときも困るよね。だってさ、カーディガンとベストどっちを着るか、とかブレザー着ていくか、とかすごく迷うもん。」
「俺もだぜ…寒いから腐りやすそうな具入れてもいいかなって思ったら、暑くて腐るしよー」
「奥村くん、主婦みたいやな…」



寒い。
みんなと話していても、やっぱり寒いと思ってしまうわけで、何か温かいものはないかと探していると、竜士くんとふと目があった。
がっしりとした竜士くんの体を見て、温かそうだな、と思いながらじっと見つめていれば、彼は不思議そうに首をかしげた。

「…?なんや、こっちじっと見よって」
「いや…竜士くん温かそうだなって思って。」
「なっ!?名前ちゃん!俺のが温かいで!」
「廉造細いからやだ。」
「うええ…」

抱き付いてもいいかな、と期待の眼差しで見つめれば、竜士くんは廉造を無理矢理私に渡してきた。

「志摩にしとき。」
「えー…」
「名前、志摩が神木や杜山さんを抱き締めてたら嫌やろ?」
「う…やだ。」
「それと一緒や。志摩やて名前が志摩じゃなく俺を抱き締めたら嫌やとおもうで?」
「…そっか、そういうものか。そうだよね」

竜士くんのとても説得力のある言葉に納得し、少し考えたあと、志摩の手を握った。

「!…名前ちゃん、」
「うん、廉造で充分、あったかい」
「名前ちゃんっ…!」
「ぐぇ」




「んだよ…あっちだけでいちゃつきやがって…」
「仕方ないよ、恋人同士なんだから。」
「坊、やっぱり坊は僕らの目標ですえ。あんな良いこと言えるん、すごいです。」
「いや…そんなことあらへん。俺は思ったままを言うただけや。」






111006


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