口は災いの元
放課後、私と志摩は日直で教室に二人で残っていた。
そんなときに、志摩が口を開いた。
「なぁ名前ちゃん。」
「んー?なに、志摩」
「その"志摩"てゆーの、やめん?」
「…え?」
"志摩"って言うのをやめる?どういうことだ?と図上にハテナマークを浮かべていると、志摩がふはっ、と吹き出しながらこう言った
「名前で呼んでてことや!」
「名前で…?」
「ん。やって俺は"名前ちゃん"言うとんのに、名前ちゃんは"志摩"てなんかおかしない?」
「…確かに」
「だから、"廉造"て呼んで?」
突然の申し出に戸惑っていると、志摩が早く早く、と急かしてきた。
「っ…れ…廉……やっぱ無理!」
「えー、なんでやー、言うてよ!」
「無理なもんは無理!!」
ムキになって少し声を張り上げてしまい、ハッとしていると、志摩もムキになったのか、大声で抗議してきた。
「名前くらいええやんか!馬鹿!」
「ば、馬鹿ぁ!?馬鹿はどっちよ、この馬鹿!」
「うっさい!名前くらいで大声出さんでや!」
「大声出してんのはあんたでしょ!…もういい、帰る!それ出しといてよね!」
私は志摩にそう言い放ち、喧嘩したまま教室を出てしまった。
110930
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