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赤い糸



「これなにかわかる?」
「…赤い糸?」
「おん!さっき拾った!」
「それがどうしたの?」
「ちょっと小指貸して?」

素直に小指を差し出せば、志摩は手際よく糸を小指にくくりつけ、反対側を自分の小指につけた。

「え?」
「赤い糸て言うやろ?それや!」
「…あぁ…」

さらっとそんなことを良いのける志摩に恥ずかしくなり、さっと俯けば、頭をふわりと撫でられ、顔が一気に熱くなる。

「名前ちゃん、」
「な、なにっ?」
「ちゅー、したいんやけど」
「…ええっ!?」

目の前のこの男は、爽やかな笑顔で、すごいことを言ってきた。
いや、普通の高校生ならびっくりなんてしないんだろうけど、私は普通じゃない(?)から、こういうことに免疫がないわけで、目を見開いてびっくりしてしまった。

「…だめ?」
「いや、あのっ、ダメと言うか…こ、こういう事が初めてで、あの、そのっだから…」
「動揺しすぎやで?名前ちゃん」
「志摩が慣れすぎなんだよっ!」
「いや、これが普通やから」
「こんなの普通じゃな」

私が声を荒げて抗議をしていると、ふわりと唇に温かい感触が。

「…え?」
「堪忍な、我慢できんかった。」
「…っ!?」
「名前ちゃん、りんごみたいに顔真っ赤や!」
「う、うっさい!志摩のせいなんだから!」
「かーわええ」

私の顔は、志摩が言った通り真っ赤だろう。そして私の目の前にいる志摩はといえば、余裕の表情でにやにやしていた。
なんだかその顔がムカついたから、赤い糸をつけたまま、志摩を一発殴ってみた。
案の定糸に引っ張られ、倒れた志摩の上に倒れ込んでしまったのは言うまでもないだろう。





110928


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テーマ「人外ファンタジー」
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