月
台風から明け、夜空にはとても綺麗にお月様が出てます。
「なんや、めっちゃ晴れとる!雲ひとつ無い夜空やな!」
その通り。
雲ひとつ無く、吸い込まれそうなほど深い青。
それは、昼間の清々しい青と違い、深く暗い。
それでも気持ちが暗くなることはない、気持ち良い夜空だ。
「月…こないだ満月だったから、少しかけちゃってるよねー」
「せやなあ。」
「…月、きれい」
「…せやね。めっちゃ綺麗や!」
きゅっと手を握られ、少し驚いて隣に居るピンク頭を見れば、こちらをじっと見つめていた。
「え?」
「お月さんもけど、お月さんに照らされる名前ちゃんも綺麗。」
「はっ!?ちょ、何くさいこと言ってんの!?」
「ホンマの事を言うとるだけや〜」
「い、意味わかんないっ!」
生まれて初めてそんなくさいセリフを言われ、恥ずかしくなってそっぽを向けば、彼は私のおでこにキスしてきた。
「っ!?」
「隙ありやで、名前ちゃん。」
そんなことされた私は、もう月を見てる余裕なんてどこにもなかった。
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お題少し変更しました。
110925
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