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※勝呂竜士サイドでお送りします。
語りは標準語


置き去り



「坊、子猫さんっ!」

志摩がいつもより高めのテンションで話しかけてきた。
何事かと思い、話すよう促せば、顔を真っ赤にして話し始めた。

「あんな、俺、名前ちゃんとお付き合いすることになりましたっ!」

その報告は、俺たちを驚かせるには十分で、しばらくフリーズしていた。


「「…え…?」」
「告白したら、OKしてくれたんよ!」
「苗字さんが?良かったやないですか」
「へへ、」
「意外やな、名前がOKするなんて」
「俺もびっくりしたんよっ!」

その後、しばらく志摩は自分の恋愛話をしてから風のように去っていった。



「…なんや、びっくりですね」
「あぁ…」
「…応援、しようとは思うんです。でも、二人が付き合ったことで、みんなの関係が壊れるのは、嫌なんです。」

子猫丸が言っていることは納得できた。
友達として応援したいし、今のみんなとの関係も壊したくない。
でも俺はそれ以上に悔しい気持ちがあった。

「…俺も、同じ気持ちや。まぁ、俺は名前のこと好きやったんやけどな…志摩に抜かれてもうた」
「…坊、」
「大丈夫や。大丈夫。」

志摩の気持ちにも気付いてたし、最近名前が志摩のことを意識してたのも知ってる。だけどやっぱり、気持ちを伝える前にフラれるのは、男として悔しい。
でも俺は、志摩も名前も好きだから、二人の幸せを一番に応援したいと思ったのだった。

「でもなんか、置き去りにされた気分やな」
「…そうですね。」





110923


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