線路
「じゃあおばあちゃん、お使い行ってくるね!」
「行ってきます。」
「行ってらっしゃい。竜士くん、名前をよろしくね」
「はい」
おばあちゃんに頼まれ、竜士くんとお使いに行くことになりました。
「坊ずるこい!俺も名前ちゃんと行きたい!」
「えやまぁ名前はモテモテねぇ」
「おばあちゃん何いってんの!?」
「ふふ、良いじゃない。でも、廉造くんはコッチを手伝ってくれるかい?」
「おばあちゃんがいうならしゃあないな!坊、抜け駆けはアカンですえ?」
「誰がするか阿呆!」
竜士くんは志摩の頭をポカリと一発殴ってから私の手を引っ張って歩き出した。
「美智子さーん!おばあちゃんのおつかいにきましたー!」
「あら、早かったわねぇ!」
美智子さんは私の耳に顔を寄せ、そっと耳打ちした。
「この子が名前ちゃんの彼氏?」
「なっ!?ち、違いますよっ…友達です」
「あらそーなの?」
美智子さんは残念そうな顔をして家の奥に入っていった。
「何話してたん?」
「えっ?」
「美智子さんと」
「いや、なんでもないよ!」
「?…そか」
しばらく二人ではは、と笑いあって(?)いると、美智子さんが袋いっぱいの桃をくれた。
「わぁ、桃がたくさん!」
「皆で食べてね!」
「あ、俺持ちます。」
「あら、行動もイケメンじゃない!」
「え?」
「あ、じゃあそろそろ行きますね!」
「うん、またね!」
美智子さん家を後にし、竜士くんと二人並んで歩く。
すると、行きも通った踏み切りに差し掛かる。
「昔、線路の真ん中歩くのが夢だったなぁ…まぁ実際無理だけどさ」
「…俺も、」
「え?」
「俺も、歩いてみたかった。」
「…ふふ、だよね!まぁ警備システムとかあるから無理なんだけどね!」
「せやなぁ」
なんだかいつも大人っぽい竜士くんの子供っぽい夢を聞いて、なんだかほっこりした。
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