吊り広告
祓魔塾を終え、電車に乗り込む。
おじいちゃんのお墓参りのために、お父さんの実家まで行くのです。
何故か、みんな一緒に。
「ホント、なんであんたらが来んのよ!」
「だって三連休暇なんやもん!な?」
「おー!」
「兄さん、志磨くん。あくまでも日頃お世話になっている名前さんのお祖父さんのお墓参りなんだから、騒いじゃダメだからね。」
「はぁ…まぁおばあちゃんがみんなが泊まるの許可してくれて助かったよ。」
「堪忍な、名前。」
何故か着いてきたみんなを、めんどくさくなり放置して、吊り広告へ目を向けると、迎伊くんの広告が目に入った。
「あ、迎伊くんだ!」
「…あ、そうか。名前は迎伊治、好きだもんな。」
「うん、相変わらずイケメン…」
「なんや妬けてまうなぁ〜」
昨日の今日で、志摩にそう言われ、ドキッとする。
少し動揺してたのを悟られないよう、少し俯いていた。
電車で揺られること二時間。
おばあちゃん家に向かってみんなで歩き出す。
駅から10分くらいのとこにあるが、田舎だから大きな建物はない。
昔ながらの建家が並んでいて、いかにも田舎って感じ。
半年ぶりくらいに来た私を見て、すれ違うおばちゃんたちが声をかけてくる。
「あら、聡子さんとこの名前ちゃんじゃないの!」
「あ、美智子さん!桃、届いたよ、美味しかった!」
「そっか、よかった!あれ、今日はイケメンいっぱい引き連れちゃって。どれが名前ちゃんの彼氏?」
「ちょ、美智子さん、みんな友達ですから」
「またまたぁ!」
なんだか絡みが親父みたいなのは突っ込まないように。毎日面白いおっさんに囲まれているから仕方ないんです。
「おばあちゃんただいま!」
「おやまぁ名前、いらっしゃい。名前のお友達も、ゆっくりしてってね」
「はい、3日間お世話になります。」
「「よろしくお願いします!」」
110918
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