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徒歩10分



「名前ちゃん、帰ろう!」
「なんで志摩と…」
「えーっええやろ?」
「…仕方ないなぁ…」


そんなこんなで志摩と帰ることになりました。

「なぁなぁ、昨日のテレビ見た?」
「うん、嵐出てたね!」
「やっぱ嵐出とるとちゃうよなぁ!」
「うんうん!だよね!嵐がいるだけで華やかになるっていうか!」


こんな他愛もない話をしながら校門を出る。

「そういえば、昨日、大丈夫だった?」
「ん?」
「虫。」
「あー…おん…。名前ちゃんが無茶ぶりするから…」
「ごめんごめん、涙目の志摩が可愛くてつい…」
「か、かわっ…?…あんま嬉しない…」


志摩は不服そうにぷくぅと頬を膨らませ、文句を言ってきた。
その顔が可愛いって気づかないのかこのピンクは…。

「ん、やっぱり志摩はかわいい」
「な、名前ちゃんのがかわええもん!」
「はいはい。」


まだ文句を言ってくる志摩を軽く受け流し、志摩の一歩前を歩いていると、手に暖かいものが触れた。

「志摩?」
「へへ、手、握ってええやろ?」
「…うん、いいよ。志摩は甘えん坊だなぁ」
「べ、別にそんなんやないで!」
「強がんなくていいよー、廉造くん」
「ば、馬鹿にしとるやろ!」
「してないしてない。さ、いくよ」
「…おん」
なんだか子供みたいな志摩を引っ張っていると、家が見えてきた。


「送ってくれてありがと。」
「ええんよ。名前ちゃんのためなら!」
「へへ、ありがと。」
「…でも、」
急に志摩が真面目な顔になったと思ったら、へにゃりと寂しそうな顔になった。

「名前ちゃん家、近いから、すぐ着いてまうね。本音を言えばもっと一緒に居りたい。」
志摩が、いつもは見せない本音を見せた。その時、胸がきゅっと締め付けられたように苦しくなった。

「志摩…」
「…へへ、じゃあまた明日な!」
「あ、志摩っ…」

一瞬切なそうに顔を歪め、呼び掛けた私を振り返らずに、去っていった。






110917


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