メイン | ナノ



 運命と言うものはとても残酷なもので、時には、人の胸を思いっきり抉るナイフになることだってあるのだ。




彼女が柔兄のことを好きなのは、昔からわかってた。
柔兄は蝮のことが好きなのをわかってて、彼女は柔兄を好きになった。
そして俺も、そんな彼女の想いを知っていても、彼女を好きになってしまった。


「柔兄!100点取ったで!」
「おー!すごいやん!」
「へへ、…柔兄、」
「なんや、なでなでしてほしいんか?」
「うん!」
「しゃーないな、よしよし、よぉ頑張ったな。」

柔兄のおっきな手に撫でられている彼女は、とても幸せそうに笑っていた。





俺と彼女は17歳になった。
相変わらず彼女は柔兄を想っていた。
俺も、懲りずに想い続けていた。
柔兄は鈍感だから、そんな彼女の想いなんて微塵もわかってなくて。
彼女の前でも、平気で蝮とイチャイチャしてるときだってある。
そんな光景を目の当たりにしている彼女の顔は、今にも泣きそうに歪んでいた。


それだけでも、彼女を傷付ける凶器としては充分なのに、さらに彼女を傷付ける出来事が起こってしまった。


雪の降る寒い日、俺と彼女は、学校の帰りに、他愛もない話をしながら帰路に付いていると、途中柔兄と蝮が向かい合って話しているのを見てしまった。
二人は頬を染め、恥ずかしそうに話していた。
それだけで状況がなんとなくわかった。
ふと横を見れば彼女は、目に涙を溜め、苦しそうに顔を歪ませていた。
これはまずい、そう直感した俺は彼女の手を引いてその場を去ろうとした。
だが、こんな嫌なタイミングで、柔兄と蝮は自分たちの愛を確かめるようにキスをした。


気がつけば、彼女は俺の手から抜け出し、走り出していた。
俺は心の中で柔兄を罵倒しながら、走っていった彼女を追いかけた。

近所の公園に彼女はいた。
雪が穏やかに降る中、彼女は静かに泣いていた。
俺はいてもたってもいられず、彼女を力一杯抱き締めた。

「…たくさん泣いて、ええんやで。」
「っ…金造、」
「お前の涙、全部俺が受け止めたる。だから泣きたかったら、思いっきり泣いてええんやで。」

それから彼女は、今までのことを思い出すかのように、長い間泣いていた。


雪のなみだ
(こんなときに不謹慎だけど、)
(雪の中で涙を流す彼女は、とても綺麗だと思った。)









青の祓魔師/志摩金造
青に落ちた日様へ提出。
実は相手キャラを迷いに迷った結果、アミダくじで決まりました←
一応金造さん悲恋、なはず。
金造さん⇒ヒロインちゃん⇒柔兄⇔蝮
って関係です。
なんだかこういう四角関係大好きなんです。

参加させていただき、ありがとうございました!


110912


[*前] | [次#]

しおりを挟む






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -