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今日はあの日と同じ、雨だ。
でも雨なんて、気にならなかった。



僕には、大切な女の子がいた。
彼女は僕が中学生のときから、ずっと話しかけてくれた。
奥村くんっ、と少し舌足らずなのか、くぐもった声で僕の名前を呼んでいた。
正十字学園にも、僕を追いかけて、入ってきたらしい。
僕はそんな彼女に惹かれていた。
多分、一番最初のときから。


「ねぇ、奥村くん。」

「え?あぁ、なんですか?」

「私、多分あなたのことが、気になってるの。」

「…はぁ、」

「だから、また私とお話ししてくれる?」



今日は雨だ。
僕は今日もいつも通り学校に行って、いつも通り祓魔塾で手のかかる彼らと授業をして、そしていつも通り任務に駆り出された。
今日の任務は、急に女子寮近くに現れた数匹の悪魔を祓うこと。
任務に向かう最中、頭をよぎるのは彼女の顔。

(今日の彼女、なんだか元気がなかった。というより、何かに怯えているような、そんな感じだった…。)



嫌な、予感がした。



目的地について、僕は愕然とした。
悪魔に囲まれて、怯えているのは、僕の大切な人だった。
嫌な予感ほど的中するものだというが、これだけは当たってほしくなかった。

彼女は、現れた僕たちを見て、目に涙を貯めて直ぐ様こちらへ駆け寄ろうとした。


「奥村くんっ!!」


そのとき、悪魔が後ろから彼女を攻撃した。
彼女は、涙を流し、目を見開いて、ドサッとその場に倒れこんだ。

そして悪魔が再び彼女に攻撃しようとした。
僕は、無意識にその悪魔に向かって発砲した。
僕の後ろにいた人たちも僕に続いて、次々と悪魔を倒していった。

悪魔が全員消滅し、辺り一面が静かになった。

僕は彼女へ駆け寄り、抱え起こした。
彼女の背中からは、血がどんどん出てきているのか、背中にやった僕の手は、血だらけになった。


「お、くむ…くん…」

「なんですかっ…?」


彼女は小さな声で僕を呼んだ。
返事をした僕の声は、震えていた。


「わたし、ね…奥村くんの、こと…だいすき、だよ…」

「っ…僕も、貴女のことが、大好きですっ…!」

「…そっかぁ…うれしい…」

僕が彼女を抱きしめれば、弱々しく微笑んだ。刹那、彼女の体から、力が抜けた。

きっと僕は泣いているのだろう。
彼女をぎゅぅと抱き締めながら、ずっと泣き続けた。


僕は今日も、あの日と同じ雨の中、空を見上げ、一人呟いた。


ねぇ、

聞いてる?

僕はね、



きみがいないと生きることさえ辛いんだよ
(僕の世界は、)
(きみという存在が中心だったから)









青の祓魔師/奥村雪男
星を見る人様へ提出。
雪男悲恋。
悲恋大好きな私にはとても良いお題でした。
夢主を普通の子にするか祓魔師にするかですごく悩みましたが、結果普通の子になりました。
なんかこういうお話は雪男に似合ってる気がします。
参加させていただきありがとうございました!


110808


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