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※諦める一歩のつづき






あの日から、少しずつ吹っ切ろうと頑張っていた。
やけど、やっぱり私の中から坊が消えなくて、未だに諦められへんでおる。
アカンのに、坊にはもう葉月ちゃんがおるのに、坊の優しさに甘えたなってまう。

「なぁ名前。」
「……。」
「名前ー?」
「え?」
屋上で初夏のぬくい風を浴びとると、目の前で手をぱたぱた振られて、ハッとなり後ろを振り向けば、廉が立っとった。

「…あ、なんだ、廉か。…どないしたん?」
「どないしたんじゃあらへんよ、名前こそどないしたん。最近、上の空やんけ。」
「…そんなこと」
「あんで。…坊のこと?」

廉は、いつもアホなからに、こういうときだけ鋭いからムカつくんや。

「私、アホやろか。坊のこと好きやのに、葉月ちゃんとくっつけるようなことして…」
「ほんまに、アホやな。名前はアホや。」
「なっ…廉えげつない!」
「あんたは真っ直ぐ過ぎるんや。その行動かて、坊に幸せになってほしいからなんやろ?」
「…おん。」
「ほんまに、アホや。」

そない言うて廉は、うちの顔を廉の胸に埋めるようにして、抱きしめた。

「泣きたいときくらい、泣いてもええんやで、名前。」
「…うっ…ふえぇっ…ホンマはうちが坊の隣にいたかったよぉ…!」
「おんおん、泣け泣け。俺が全部受け止めるさかい。」

うちは、廉の厚意に甘え、思いっきり泣いて。、思いっきり気持ちを吐き出した。

「隣に、いたかった…せやけどやっぱり、坊には好きな人と一緒にいてほしいのっ…。」
「せやな。好きな人には幸せでおってほしいもんな。」
「おんっ…。だからね、今はまだやややこしいけど、いつか笑って祝福してあげたいんや…。」
「そーかそーか。」

廉はうちの頭を撫でながら、ずっと話を聞いてくれとった。



「廉…かんにんな、みっともへんトコを見せちゃって…。」
「ええよ。また泣きたくならはったら、いつやて俺の胸に飛び込んでくればええ。」
「…おおきに、廉。」





進む一歩
(まだやややこしいけど)
(廉のおかげで少しやけど)
(前に進めた気がした)







青の祓魔師/志摩廉造
続きを真っ先に書いてました。
廉造に活躍させたかっただけです、はい。
こんときは中学生設定(学園くるちょい前)なんで、時飛んで10年後くらいのお話をまた書くかもしれないです。


110726


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