それからというもの、志摩くんとサボることが多くなった。
もともと、真面目なほうで、サボりもたまにしてたくらいだった。
でも何故か志摩くんとサボるのが楽しくて、気付いたら屋上に来てしまうのだ。
「また来はったん?苗字さんはサボり魔やね〜。」
「志摩くんもね。」
「じゃあ俺らお揃いやね。」
ははっ、とお互い声に出して笑う。
そして、内心私は「お揃い」と言われたことに嬉しさを感じていた。
「せやけど、苗字さん授業とか大丈夫なん?ついていけんとちゃう?」
「友達にノート見せてもらうし、家で勉強してるから多分大丈夫。」
「偉いな〜。俺なんか勉強どころかノートすら見せてもらってへん。」
「…志摩くん、それは大丈夫なの?」
「大丈夫やあらへんよ。当たり前やんか。」
「いやいや、そんな真顔で言われても。」
(こんな風に他愛もない話をするのが楽しい。
この時間が楽しい。
志摩くんといるのが楽しい。)
でも、私たちがこんな風に話すのは、ここでだけ。
教室に戻ってしまえば、笑い合うどころか、話すらしない。
時々、目があったりするが、お互い特に何もせずそらしてしまう。
でも、それくらいでいいの。
これくらいがちょうどいい僕ら
(もう勉強の話やめやめ!)
(志摩くんから言ってきたんじゃん。)
(う…あ、せや!苗字さん。)
(なに?)
("苗字さん"って他人行儀やから"名前ちゃん"て呼んでええ?)
(別にいいけど。)
(やった、おおきにな。)
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廉造は天然タラシ。←
110729
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