狼煙
「ん…煙?」
学校からの帰り道を歩いていると、旧男子寮の方で、煙が出ている。
(まさか…火事!?)
私は思わず男子寮の方へ駆け出した。
「で、あんたは何やってんのよ、メフィスト。」
「狼煙です。」
煙の正体はメフィストだった。
どうやら焚き火をたいて布をとったり被せたりして、狼煙をしていたらしい。
「意味わかってやってんの?」
「いえ、小説に書いてあったのでやってみました。」
「完全にアホだ…。じゃあ、メフィストはとけに何を伝えたい訳じゃなく、ただその行為に興味があったからやった、ということ?」
「そういうことになりますかね☆」
「ったく、火事かとおもって心配したじゃん…」
とりあえずメフィストの頭を一発だけ叩いてから、燐たちの部屋へ目をやる。
すると、雪男くんが何事かと窓から覗いていた。
「名前さん!?ちょ、これ、どういう状況…」
「なんか…メフィストが狼煙をしていたらしい…」
「…フェレス興…貴方って人は…何してるんですか…」
「だってやってみたかったんですよぅ」
「髭生やしたおっさんが可愛く言ったって、可愛く見えませんからね。気持ち悪いだけですからね。」
すると、燐も雪男の隣からひょこっと顔を出した。
「なんの騒ぎだ?」
「ちょ、兄さん狭い…。」
「メフィストが狼煙をしてたのよ。」
「狼煙?良い大人がなにやってんだお前…」
「ちょ、その言い種酷くないですか!?」
「黙れおっさん。とにかくそれ、片しとけよ!」
燐はメフィストに一言葛を入れ、部屋の中へ戻っていった。
「じゃ、私は帰るから。またね、二人とも!」
「あ、送っていきますよ。」
「えっ、俺も俺も!」
さっき部屋の中へ消えた燐の声が聞こえ、笑みを溢しながら、私は二人に返事をした。
110910
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