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暮れなずむ


私は、放課後になり、屋上に来ていた。
今日は先生たちが緊急招集がかかったとかで祓魔塾はおやすみになった。

「はぁ…」

太陽の方へ目を向ければ、日が傾きはじめていた。さらに夏で日が沈むのが遅いから中々空の色が変わらない。

「なんだっけ、こういうの…」
「暮れなずむ、やないか?」
「え…?」

ふと後ろから声がして、振り向くと竜士くんと子猫丸がいた。

「あれ、竜士くんと子猫丸、どうしたの?…ん?なんかうるさいのがいない…」
「そのうるさいのを待ってるんや。追試らしくてな。」
「なんや志摩さん一人で帰るのが嫌みたいなんよ。」
「なんだそれ…志摩女々しいなぁ。じゃあ仕方ないから私も一緒に待っててあげよう。」
「上から目線やな…。」
「でも苗字さんが待っとってくれはったら、志摩さん喜びますよ。」

私は竜士くんと子猫丸に挟まれながら、まだ沈まない夕日を見つめていた。


「なんか夕日って見てるだけで物悲しいよね。」
「せやね。」
「せやけど、青から橙に変わるの、神秘的ですよね。」
「うん…」


しばらく三人で無言で夕日を見つめていると、ガチャっと後ろの扉が開いて、志摩が入ってきた。


「あ、ここにおった!探したでー!…って名前ちゃんやん!何でここにおるん?」
「志摩を待ってたー」
「えっ(キュン)」
(なんかトキメキの効果音が聴こえた…)
「嘘よ。さっき偶然会っただけよ。」
「なーんや。ちぇー、期待してもうたやん。」

志摩は私の回答が不満なのか、ぷくぅと頬を膨らまし、不貞腐れていた。
(なんかかわいい…)

「志摩さん、追試終わったんですか?」
「おん、ちゃちゃっと終わらせて来たで!俺はやれば出来る子やからな!」
「だったら最初からやっとけ阿呆。」
「ぼーん、そんな殺生なこと言わんでくださいよ。」

志摩が来て、そんなやり取りをしばらくしているうちに、結構時間が経っていたらしい。ふと空を見れば、オレンジだった空は、藍色へと変化していた。





110908


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