眼帯
私は今、絶賛寝不足です。
「ふわぁ…」
今日何回目かわからないあくびをしながら祓魔塾の廊下を歩いていると、誰かにぶつかってしまった。
「あ、すみません…ボーッとしてて…」
「いや…」
ぱっと顔をあげればネイガウス先生の顔が。しかも無意識なんだろうけど、私がぶつかった拍子に転ばないように、私の腰を押さえてるから、気のせいか顔が近い。
「ね、ネイガウス先生!」
「…怪我はないか、苗字。」
「へ?あ…はい。大丈夫です。」
「そうか…」
腰の手は外してくれないのだろうか、なんて思いながら、ネイガウス先生を見つめていると、先生の眼帯の紐が緩んでいるのに気付いた。
「先生、眼帯の紐、緩んでます。」
「…あ…あとで直す。教えてくれて感謝する。」
「あ、私結び直しますよ。」
「え?あぁ…すまない。」
そう言って眼帯を押さえてる先生。私は背伸びをして紐を結ぼうとしたのだが、先生は身長が高いから、結びにくい。
「あの…ちょっと屈んでもらえますか?」
「え?…あぁ、気が利かなくてすまないな。」
「いや、大丈夫ですよ。」
先生は少し腰を曲げて屈んでくれた。
(みんな怖がってるけど、先生って普通に優しいんだよね。)
私は緩んだ紐を一回解いて、もう一度結び直した。
「はい、こんな感じで良いですか?」
「あぁ、ありがとう。」
先生はお礼を言って一瞬フッと微笑んだ。そして私の頭を一撫でして行ってしまった。
(先生、かっこいいな…。)
110907
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