勝ち組
夏休みも終盤に入った。
私も宿題を終えて、あとは2学期が始まるのを待つだけとなった。
そんな私の家には今、げっそりとした表情の燐と志摩、そして鬼のような形相をした雪男くんと竜士くん、そして一人我関せずな子猫丸がいた。
「兄さん、志摩くん。どうして何も終わらせてないの?」
「お前ら、ホンマにしょーもないな。」
「なんだよ二人して…」
「お二人さんだって終わってない教科くらいあるやろ?」
「いいえ?」
「全部終わっとるで。」
宿題を全部やってなかった燐と志摩とは逆に、雪男くんと竜士くんはもう宿題を終えたらしい。流石だ。
「子猫丸は!?」
「僕ももう終わってはります。」
「子猫さんもか…。」
そして燐と志摩は私が唯一の頼みの綱だというような目で見てきた。
だが生憎私も終わってるのだよ。
「私も全部終わってるよ」
「だああああああ!なんだお前ら!気持ち悪っ!」
「無駄口叩いてないで終わらせる努力をしなよ、兄さん。」
「よし、燐と志摩は放っておいて、みんなでトランプでもする?」
「ええですね!トランプしましょか。」
「負けた奴罰ゲームやからな!」
「勝呂くんは、また負けないようにね。」
「う…」
そうして勝ち組の私たちはトランプを始めたのだった。
恨めしそうにこちらを睨む燐と志摩を放置して。
ちなみに勝敗は雪男くんが勝ち、竜士くんが負けて、竜士くんがモノマネをさせられるというオチに終わった。
110826
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