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「蛍、見に行きませんか?」
雪男くんにそう言われて、正十字学園町にある小川に来た。
「ここ、蛍たくさんいるんですよ。」
「そうなんだ!」

まだ夕方なため、暗くなるまで雪男くんとと他愛もない話をしていた。
すると私と雪男くんの間を黄緑の光が過った。

「あ…」
パッと顔をあげると、そこには蛍の光がたくさん散りばめられていた。
「何これ!めっちゃ綺麗!」
「でしょう?ここの蛍は、理事長が気に入っていて保護してるそうですよ。」
「そうなんだ!メフィストもたまにはいいことすんじゃん。」
「ですよね。」

私はつい夢中で蛍をただじっと見つめたり、追いかけたりしてはしゃいでいた。
そんな私を見て雪男くんがクスリと笑った。

「あ…ご、ごめん…」
「いや、いいですよ。名前さん可愛いですし。」
「か、かわっ…!?」

笑われたのと、可愛いと言われたので、私の顔は一気に真っ赤に染まった。

「顔、真っ赤ですよ。」
「雪男くんのせいだ。」
「え、僕のせいですか?」
「そうだよ!」


雪男くんのせいで途中から蛍なんかどうでも良くなっていたのは、ここだけの秘密ね。



110824


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