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秘め事


「そう言えば、今日坊の誕生日やん。」
「え!?まじか、誕生日プレゼント買ってないよ!なんで早く教えてくれなかったのよ!」
「えっ!?そないなこと言われても!」

なんと今日は竜士くんの誕生日だったらしい。
今初めて聞いた私は、もちろん誕生日プレゼントなんてものを用意していなかった。
なので私は、竜士くんに直接何をしてほしいか聞きに行くことにした。



「竜士くん、誕生日、おめでと!」
「うお!?びびった、名前か…おおきに。知っとったんやな。」
竜士くんは部屋で一人で本を読んでいた。
「ん、さっき志摩に聞いた!」
「そか。で、どないしたん?」
「あ、そだ。…誕生日知らなかったから、プレゼント、用意してなくて…だから、何かしてほしいことがあったら言って!なんでもするから!」

私がそう言えば、竜士くんは目を見開いた。そして少し考えた後、なんだか意地悪そうな笑みを顔に浮かべた。

「…?」
「…なんでも、言うたな?」
「う、うん…?」
「…じゃあ、目ぇ、瞑れ。」
「え?…うん、わかった。」

目を瞑るとか、何故?と不思議に思いながら、きゅっと目を瞑っていると、おでこに柔らかい感触が、

「…、………っ!?」
(今、おでこにキスされた!?)

私が声も出さずに驚いていると、竜士くんはくすくす笑いながら自分の頬を指差してこう言った。

「名前、ここに同じ事して?」
「え!?」

(それって、私からほっぺにキスしろってこと!?)

「え、あのっ…」
「早う、」
「う、………はい…。」

早くしろと促され、私は意を決して竜士くんの頬にちゅっ、とキスをする。

「こ、これでいい?」
私が(身長的に)自然と上目遣いになりながら聞けば、竜士くんは満足そうに笑い、私の頭を撫でた。

「ん、おおきにな。プレゼントなんか無くても、これで十分や。」
「…竜士くん、マジイケメンだね。」
「イケっ…!?…んなことないで?」
「ははは、照れてる。やっぱり竜士くんはかわいいや。」





110820


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