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頭がキーンってする


「名前ー、かき氷作ってきたえ。」
「わぁ、蝮姉さん!ありがとう!」

蝮姉さんがかき氷を持ってきてくれた。

「俺らには…」
「あるわけないやろ。志摩の小僧はすっこんどれ。」
「まーむし。嘘つくなや。ちゃんと全員分あんで。」
「柔兄は神や!」

まぁ柔造さんや金造さんも手伝ったみたいで、全員分のかき氷も持ってきてくれた。
ちなみにお母さんとお父さんは二人きりで観光らしい。
(何故わたしを置いていくのだ…!)


「いっただっきまーす!」
私のかき氷のシロップはレモン。

「んー、うまっ!」
「ひやこいっ!」
「うまいですね」
「おー」

志摩と金造さんがいちご、竜士くんと雪男くんと柔造さんは宇治抹茶、燐と子猫丸はメロン、蝮姉さんは私と同じレモンだ。

「んー…イチゴも食べたい…」
「ほな、俺のやるわ。ほれ名前、あーんしろ。」
「ありがとう金造さん!あーん…」

金造さんが一口掬ってこちらにスプーンを向けたので、それを口に含む。

「んま〜っ!」
「あ、金兄ずるい!俺のもやるで!」
「いや、もうイチゴはいいや…」
「えーっ!」
「じゃあ俺のはどや?」
「宇治抹茶、ほしい!」
「じゃあ僕のを…」

そう言って雪男くんと竜士くんが同時にスプーンを向けたので、私はふたつともぱくっと食べてみた。

「うん、抹茶もおいしい!二人ともありがと!」
「じゃ、俺のもやる!」
「メロン?ありがとー、燐。」

一言お礼を言って、燐のも貰う。
そして自分のレモンに戻ると、志摩がジッとこちらを見て、氷を掬って食べようと思った私の腕を引っ張ってそれを口に入れた。
「あー!!」
「隙ありや!ん、レモンもうま!」
「おのれ志摩…お前らも…ふざけとんのか…?さっきから名前と間接キスしよって…名前、消毒しような?」

そう言って黒いオーラを背中に纏い、私に近寄ってきた蝮姉さんは、私の頬を両手で包んで、口に軽くキスをしてきた。

「!」
「「「なっ!?」」」
「消毒や。」
「蝮姉さん…」

私は「女の子大好き」がステータスなので、そのまま蝮姉さんをぎゅっとした。

「ちょ、名前ちゃん!ええんか!?」
「別に。むしろ嬉しい。」
「さすが名前や。男も女も受け入れられるゆうことやな!」
「なんか私が尻軽みたいに言わないでください金造さん。別に誰でも良いわけじゃないですからね。」
「蝮…貴様…名前のファーストキスを…」
「柔造さん、別にこれファーストキスじゃないですけど。」
「え。」
「ファーストキスくらい中学生で捨ててきましたよ。」
「さすが私の名前!大人やね。」



食べ終えた頃には、頭がキーンっとしてずきずき痛かった。
その時のみんなのテンションが下がっていたのはきっとキーンとしていたせいだろう。うん。そう思いたい。





110809


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