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外泊日和


今日から20日まで、両親と京都遠征という名の、京都旅行です。

何故か、京都組や奥村兄弟も一緒で。

京都の竜士くん家の宿について開口一番私はこう言った。

「なんであんたたちみんないるのよ!」
「俺らはただ帰省しとるだけやで?」
「僕らも旅行ですよ。ね、兄さん。」
「おう!」
「なんでしえみたちは連れてこないのよ!女の子私一人じゃない!」
「しえみも出雲も忙しいんだよ!」

(なぜ、私のオアシスな二人がいないのよおおおおおおお!!)
そんなことを心で叫んでいると、お母さんとお父さんは笑いながら暢気なことを言った。

「まぁまぁ良いじゃないの。楽しそうじゃない。」
「お母さん!」
「そうだぞ。こんなイケメンばっかに囲まれて、名前、チャンスじゃないか!」
「お父さんまで何言ってんの!?」

はぁ、と私はため息をつき、旅館の中に入る。
「女将さーん。予約してた苗字ですー。」
「あら名前ちゃん、おこしやす。待っとったえ。」

とりあえず私たち家族と、奥村兄弟は、女将さんにそれぞれ部屋に案内してもらった。



お父さんとお母さんは夫婦水入らずで散歩に行くと言うので私はひとりで部屋で涼んでいた。
「名前ちゃーん!さっそくお部屋に遊びに来たでぇ!」
「志摩…入るときくらいノックしなさいよ馬鹿。」
「堪忍な、名前。」
「すんません。」
「いや、竜士くんと子猫丸は謝らなくていいから!」
「名前ちゃんえげつない!でもそんなとこも好き!」
「きもっ」

志摩たちと話していると、ドタドタと廊下を走る音がたくさん聞こえてきた。


「「「名前!!!」」」

入ってきたのは金造さんと柔造さんと蝮姉さんだった。

「あれ、みんな揃ってる。金造さんは昨日ぶりだね。柔造さんと蝮姉さんは久しぶり!」

「名前、今日もかわええなぁ。昨日会ったときよりもっとかわええ。」
「いや、変わんないから。」
抱きついてくる金造さんを軽くあしらっていると、柔造さんが私から彼をべりっと剥がした。

「名前、よう来はったな。」
そして柔造さんは私の頭を撫でながら微笑んだ。
相変わらずかっこいいと思っていると、柔造さんを突飛ばし蝮姉さんが私をひしっと抱き締めてきた。

「名前、大丈夫やった?こないに仰山の男に囲まれて、襲われたりしてへん?」
「大丈夫だよ、蝮姉さん。」
「よかった。志摩、名前に手ぇ出したら許さんえ?」
「んだとこの蛇顔!」
「野蛮な申め!」
「まぁまぁ二人とも。」

蝮姉さんと柔造さんが喧嘩を始めそうだったから、私は二人を制した。
(まったく、二人とも素直じゃないんだから。)

その後もお母さんとお父さんが帰ってくるまで、みんなはわいわいぎゃあぎゃあと騒いでいた。
(みんな、私に安らぎはくれないのかな…ははっ、)





110808


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