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蝉しぐれ


ミーン、ミーン…
ジジジジ、ジジジジ…

「蝉…じゃかあしい…。」
「課題に集中できんですね…。」

やっぱり、また志摩と竜士くんと子猫丸が遊びに来た。何故。

「なんであんたたちはまたここに居るの…。」
「だって男子寮エアコン壊れとんのや!そんな中で課題やったら往生してまう!」
「もー、だからってなんで私ん家なの?」

そうか…エアコンが…。メフィストめ…ケチって治してないんだな…?あのケチ道化師が…。

「苗字家は寮から近いし、それに名前ちゃんに会いたいから来とんやで!」
「いつもすんません…。」
「いや、子猫丸はいいよ、可愛いから。竜士くんもいい子だからいい。」
「俺はぁー!?」
「冗談よ。」
「そない真顔でてんごいわんといてください!」

志摩は少し涙目で、私に訴えかけてきた。なんだこいつ可愛い。
(うん、やっぱり志摩は弄りがいがあって楽しいな。)

「私も暇だから、みんなが来てくれて嬉しいんだよ?」
「!…名前ちゃんがデレた…。」
「そう言うて貰えると嬉しいですね、坊。」
「せやな。また来てもええか?」
「もちろん!」

ミーン、ミーン…
ジジジジ、ジジジジ…

「しっかし…蝉うるさいねぇ…」
「知ってますか?こうゆうののことを、蝉しぐれ言うんですよ。」
「蝉しぐれ…?」
「仰山おる蝉が、一気に鳴く声を、時雨の降る音に見立てた言葉のことや。」
「さすが坊、よく知ってはりますね。」
「そっか、蝉しぐれ、かぁ…」


こんな話をしてる間にも、蝉は色んなとこで鳴き続けていた。





110805


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