冷やかし
今日も迎伊くんはイケメンだったなあ、なんて考えながら私は出かける準備をしている。
「ふん、ふん、ふんふふーん♪」
なんて鼻歌なんて歌いながら、着ていく服を決めていた。
(今日はちょっと女の子意識して、スカートでも履いていこうかな。でも短パンも捨てがたいよなあ…)
試行錯誤しながらも、結局スカートで色は白と薄ピンクをメインにした。
ふと時計を見れば、待ち合わせの10分前。家から駅までは10分とちょっと。
「やっばい!間に合うかな、行ってきまーす!」
私は勢い良く家を飛び出し、駅に向かった。
「竜士くん!」
「おー、名前…って、おま、その格好…」
「えっ?な、なんか変…かな…?」
「いや、変とちゃうで。…ん、かわええ。」
「!…ありがと、竜士くん。」
私は自分な頬が熱くなるのを感じながらも、彼に笑顔を向けた。
実は今日は、竜士くんとショッピングに行く約束をしていた。
7月の末、みんなでやったトランプ大会で負けた人が買った人の言うことを聞くと言う、ベタな罰ゲームがあり、私が見事に勝ち、竜士くんが負けてしまったのだ。
なので私は、今日一日私のお買い物に付き合ってもらうことにしたのである。
「ごめんね、竜士くん…荷物持たせちゃって…」
「いや、別にええ。やけど女て、こない仰山買うんやな。」
「女の子はこれが普通だよ。それにいつもは一人だから持てる限度があるから助かったよ。」
「まぁ、それで名前が満足ならそれでええよ。」
「竜士くんおっとこまえー!」
竜士くんをひじでつついてみると、彼はちょっと顔を赤くしながらおちょくんなや、なんて言って私の頭を軽く小突く。
「なんやお二人さんええ雰囲気やね〜。」
「!?し、志摩っ!?燐たちも…」
「あんたらが今日デートだって風の噂で聞いてな。つけとったんや。」
「僕はやめようて言ったんですけど、志摩さんと奥村くんが聞かへんくて…。」
「いーだろ子猫丸ー。」
志摩と燐は竜士くんの肩に腕を絡ませていた。
「しっかし二人はラブラブやねぇ。」
「えっ…ちょ、やめてよっ。そんなこと言ったら、竜士くんが嫌がるでしょ!」
「そないなこと無いと思うんやけど?」「そんなことあるの!」
「いや、俺は別に…むしろ嬉しいんやけど…」
なんて竜士くんが呟くのは私には聞こえなかった。そして、結局その後はみんなとショッピングをした。
110803
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